◇ののちゃん 昨日の夜、怖い夢を見ちゃった。夏休み最終の日に宿題が残っていて、なぜか家に先生とお母さんがいて私を見張っているんだ。窓から空を飛んで逃げたのに、先生の手がびよ〜んと伸びて私の足をつかんだところで目が覚めた。
◆藤原先生 いつも宿題をしないから、そんな夢を見るんじゃない?
◇ののちゃん どうして人間は夢を見るの?
◆先生 詳しいことは分かっていないけれど、寝ている間も脳が活動しているからだということはいえるわ。寝ているときは起きているときとは違った具合に脳は活動しているのよ。
◇ののちゃん どう違うの?
◆先生 「脳波」という脳の活動で生じる電気の流れが、はっきり違うわ。もっとわかりやすい例では、寝ている間は記憶力が低下する。何回も起こして直前に見ていた夢を聞く実験などから、人は毎晩10個程度は夢を見るとわかっている。
◇ののちゃん えーっ。毎日10個も夢を見ているの?
◆先生 そう。覚えていないだけなのよ。でも、夢を見ていると自覚したらすぐに目を覚まして夢を記録するように訓練すると、だんだん記憶できるようになるわ。寝ているときには思考能力や注意力も低下しているから、夢の中で空を飛んだり手が伸びたり、不思議なことが起きても変だと思わないのよね。
◇ののちゃん 楽しい夢ならいいけれど、怖い夢は10個もみたくないなあ。
◆先生 でも、夢は学習に役立っているようなのよ。ネズミにA地点からB地点に行くとエサがもらえると覚えさせた直後に睡眠をとらせて脳の活動状況を調べた実験があるの。A地点に行ったときに活性化する神経とB地点のとき活性化する神経が順番に活動していて、直前に覚えたことを復習する夢を見ているらしいと分かったんですって。夢を見させないようにすると、学習したことをよく覚えられなくなったそうよ。
◇ののちゃん ふうん。夢をいっぱい見た方がいいのかな。目をつぶっているのに物が見えるのも不思議だなあ。
◆先生 いま、目をつぶってお母さんの顔を思い出してごらんなさい。頭の中に浮かんでくるでしょ? 目をつぶっていても頭の中にいろいろなイメージが浮かんでくるものなのよ。
◇ののちゃん 明け方にみる夢は正夢、というのは本当?
◆先生 そういう言い伝えがあるけれど、迷信でしょうね。夢の内容による占いも迷信ね。
(取材協力=京都府立医科大助教授・三谷和男さん、構成=大岩ゆり)
(朝日新聞東京本社発行 2月5日付夕刊)
◇調べてみよう
(1)これから1カ月間、夢を記録してみよう。できれば、家族の見た夢も記録してみよう。
(2)夢に色がついていたか、知っていた人が登場したか、過去の体験が出てきたかなど、記録した夢を分析してみよう。