◇ののちゃん 七夕にデートする彦星(ひこぼし)と織姫星(おりひめぼし)の間は15光年も離れているってプラネタリウムの人がいってた。「光年」って何?
◆藤原先生 距離の単位の一つよ。光や電波が1秒間に進む距離は地球を7周半できるほどだけど、その光ですら1年もかかる距離が1光年なの。
◇ののちゃん なんだか想像できないな。
◆先生 メートルに言い換えると、約9兆5千億キロメートル。彦星と織姫の間はその15倍も遠くて、彦星が「もしもし」って電波を送っても織姫に届くのは15年後。新幹線だったら7000万年かかる計算になるわ。
◇ののちゃん じゃあ、デートなんてできないね。そんな距離をどうやって測っているの?
◆先生 山の高さを測るときと同じ三角測量の原理を使うの。二等辺三角形では、底辺の長さと頂点の角度がわかれば残りの二つの辺の長さが決まる。これを利用すれば、彦星と織姫星がそれぞれ地球からどのくらい離れているかがわかるわ。
◇ののちゃん どうやるの?
◆先生 地球は太陽から約1億5千万キロ離れた軌道を1年で回っているから、同じ星を半年後に観測すれば、約3億キロも離れた場所から見ることになる。これが三角形の底辺よ=図。
◇ののちゃん 頂点の角度は?
◆先生 顔の前に鉛筆を立てて目を交互につぶってみて。右目で見たときと左目で見たときで鉛筆の位置がずれるでしょう。
◇ののちゃん ほんとだ。
◆先生 このずれの方向を図にかくと頂点の角ができる。こうして、彦星までは17光年、織姫星までは25光年離れていることがわかったのよ。
◇ののちゃん でも彦星と織姫星との距離はわからないよ。
◆先生 あせらない、あせらない。今度は地球と彦星、織姫星を頂点にした三角形を描くの。地球からの二つの辺の長さはわかっているから、ある地点で二つの星を観測したときのずれの角度を図に描けば、彦星と織姫星の距離がわかるってわけ。
◇ののちゃん ふう、ようやくたどり着いた。
◆先生 でも、この方法が通用するのは数百光年先まで。肉眼で見える星はこれでほぼ大丈夫だけど、それより遠い星だと、ずれの角度が小さすぎて三角形が描けなくなっちゃう。
◇ののちゃん 困るね。
◆先生 ただ、近い星の観測結果から、星の色と明るさなどの関係がわかっているので、遠い星でも距離が算出できるの。もっと遠い天体には、ほかの方法もあるのよ。
(取材協力=加藤賢一・大阪市立科学館学芸課長、構成=杉本潔)
(朝日新聞東京本社発行 2月26日付夕刊)
◇調べてみよう
(1)彦星はアルタイル、織姫星はベガとも呼ばれる明るい星。ほかの明るい星や惑星、星雲・星団と呼ばれる天体までの距離を調べよう。
(2)顔の前に鉛筆を立てて、左右の目で見比べた位置のずれが顔から遠いほど小さいことを確かめよう。