◇ののちゃん きのう、お母さんとテレビの刑事ドラマをみたよ。事件が起きた場所で警察官が指紋の跡を探していたけど、例えば泥棒が何年も見つからなかったら、その間に泥棒の指紋が変わってしまわないの?
◆藤原先生 指紋は「終生不変(しゅうせいふへん)」といって、生まれたときから死ぬまで一生、変化しないのよ。大人になっても、赤ちゃんのときの模様がそのまま大きくなるだけよ。ほくろの位置が、大人になっても変わらないのと一緒よ。
◇ののちゃん 手を使う仕事をいっぱいして、指がごつごつになったら?
◆先生 それでも指紋は変わらないわよ。
◇ののちゃん どうして変わらないの?
◆先生 指紋は指先の皮膚の「すじ」のようなものなんだけど、皮膚の表面にあるだけではなく、新しい皮膚が作られている奥の方でも、すでに指紋の模様はできているからよ。奥の方の模様がどのようにできるのかは、まだよくわかっていないけれど。
◇ののちゃん きのう見たドラマでは、悪い奴が顔のそっくりな双子で、捜査が混乱したんだけど、双子は指紋も同じなのかな?
◆先生 お母さんのおなかの中で育つとき、双子はそれぞれ別に成長するから、2人の指紋は似ているけれど、完全に同じではないの。顔だって、よーく見れば違うでしょ。
◇ののちゃん 双子同士でも指紋が違うとすれば、地球上に私と同じ指紋の人はいないということ?
◆先生 そうよ。同じ指紋を持っている人は本人以外には一人もいないのが指紋のもうひとつの特徴よ。これを「万人不同(ばんにんふどう)」と言うの。だから、まったく同じ人がいないとは言い切れないDNA鑑定よりも、指紋の方が人物を特定する点ではすぐれているわ。
◇ののちゃん へえ〜。指紋は人間の数だけ種類があるんだ!
◆先生 大まかに分ければ、渦の形をした「渦状紋(かじょうもん)」やウマの蹄(ひづめ)のような形をした「蹄状紋(ていじょうもん)」、弓なりの線が並んだ「弓状紋(きゅうじょうもん)」、それ以外の「変体紋(へんたいもん)」に分類できるわ。日本人の5割が渦状紋で、4割が蹄状紋だそうよ。
◇ののちゃん 事件現場で指紋が一部しか見つからない場合もあるよね。それでも間違った人を捕まえることはないの?
◆先生 日本では、指紋の1本の線が始まる点や終わる点、分かれる点など、特徴的な部分が12点以上一致した場合にだけ、「指紋が一致した」とみなすのよ。それだけ一致するのは、本人以外にいないと考えられているからなの。外国では14点で一致した、とする国もあるわ。
(取材協力=日本大医学部教授・押田茂実(おしだ・しげみ)さん、構成=大岩ゆり)
(朝日新聞社発行 4月17日付be)
◇調べてみよう
(1)自分の指紋の形は、どの型になるかな? 虫めがねなどで見て、調べてみよう。
(2)指に朱肉や絵の具などをつけ、紙に押し当てて指紋を写し取った後、指紋の線が始まる点や終わる点、分かれる点などを探そう。