◇ののちゃん お兄ちゃんはね、ガムをかみながら試験(しけん)の勉強(べんきょう)をするんだよ。集中力がつくんだって。ほんとうかな。
◆先生 ののちゃんは、どう思(おも)う?
◇ののちゃん 口をもぐもぐ動かしていると、かえって気が散(ち)りそう。
◆先生 残念(ざんねん)! ガムをかむと確(たし)かに記憶力や集中力が高まるようよ。3年前に、英国(えいこく)の学者(がくしゃ)がそういう研究結果(けんきゅうけっか)を発表(はっぴょう)して、みんなびっくりしたの。
◇ののちゃん へー。
◆先生 ほかにも暗算(あんざん)の成績が上がるらしいわ。大脳(だいのう)のうち、ものごとを判断(はんだん)したり次の行動(こうどう)を計画(けいかく)したりする部分がよく働くようになるという報告(ほうこく)もあるの。ちょうど、おでこの内側(うちがわ)あたりよ。
◇ののちゃん すごいっ! 頭がよくなるんだ。じゃ、お兄ちゃんの成績も上がるね。
◆先生 微妙(びみょう)ね。ガムは一時的に手助(てだす)けをするだけなので、毎日の努力(どりょく)の方がずっと大事なのよ。
◇ののちゃん そういえばプロ野球(やきゅう)やサッカーの選手(せんしゅ)が、試合中(しあいちゅう)によくガムをかんでいるよね。
◆先生 ガムをかむと、集中力だけでなく、脚(あし)の筋肉(きんにく)の運動能力(うんどうのうりょく)が高まるの。そういう効果(こうか)を利用(りよう)しているのだと思うわ。
◇ののちゃん そっかー。いっぱい効果があるんだね。どうしてそんなにいろんなことが起(お)きるのかな。
◆先生 ガムをかむあごの筋肉や歯(は)の感覚(かんかく)が、脳の「脳幹(のうかん)」というセンターに入り、そこから大脳や運動神経(しんけい)などのいろんな場所に刺激(しげき)が伝わっていくらしいの。でもその仕組(しく)みは、はっきり分かっていないの。
◇ののちゃん 頭の中は見えないもんね。
◆先生 そうよ。それでも最近、脳の中で起きていることを外から調(しら)べる方法がいろいろ開発(かいはつ)されているから、だんだん分かってくると思うわ。
◇ののちゃん ガム以外の食べ物でも効(き)き目(め)はあるのかな?
◆先生 こんな実験(じっけん)があるの。よくかまないと食べられない硬(かた)いえさで育(そだ)てたネズミと、かまなくてもいい軟(やわ)らかいえさで育てたネズミを使って、迷路(めいろ)の中でえさを探(さが)すテストをしたら、よくかんだネズミの成績がずっとよかったんだって。
◇ののちゃん ふむふむ。ご飯をしっかりかんだらいいんだね。
◆先生 ののちゃんは、よくかんで食べてるかな?
◇ののちゃん うん。お母さんに、30回かんで食べなさいって言われてる。
◆先生 それはいいことね。そうそう、砂糖(さとう)が入っているタイプのガムは、虫歯(むしば)になりやすいから注意(ちゅうい)しようね。
◇ののちゃん はーい。
(取材協力=小林真之・大阪大大学院歯学研究科講師、構成=中村通子)
(朝日新聞社発行 6月12日付be)
◇調べてみよう
(1)あなたはご飯を食べるとき、一口で何回かんでいるかな。お父さん、お母さんの回数と比べよう。
(2)よくかまないと飲み込めない食べ物と、あまりかまなくてもいい食べ物を探してみよう。