◇ののちゃん 先生、血(ち)は赤いのに、どうして手や腕(うで)の血管は青く見えるの?
◆藤原先生 不思議(ふしぎ)よね。たしかに血は赤いんだけど、血管の中を流(なが)れているときは皮膚(ひふ)や血管の壁(かべ)をすかしてみるので、違(ちが)う色になるらしいの。
◇ののちゃん どうしてそんなことが起きるの?
◆先生 血は電球(でんきゅう)と違って自分では光(ひか)らないでしょ。だから、私たちが血の色だと思っているのは、外からあたった光の一部が血に反射(はんしゃ)したあと、目に届(とど)いた色なの。白い光で照(て)らしたとき、血からは赤い光の成分(せいぶん)が反射してきて赤く見えるのだけれど、同じ白い光で照らしても、皮膚や血管の壁を通して反射してくると、光の色は少し青っぽくなるというわけ。
◇ののちゃん なんだかすっきりしないなあ。
◆先生 やっぱり? 実はお医者さんに聞いても、仕組(しく)みがはっきりしないの。手や腕で見える血管の血がもともと黒っぽいことが影響(えいきょう)しているのかもね。
◇ののちゃん 血の色が違うの?
◆先生 そう。外から見えるのはほとんどが静脈(じょうみゃく)という血管よ。血の役目(やくめ)の一つは酸素(さんそ)を体中に運ぶことだけど、静脈には酸素を送り届けたあとの酸素が少ない血が流れているの。
◇ののちゃん それで?
◆先生 酸素がいっぱい入っている血が流れるのが動脈(どうみゃく)。その血はとても鮮やかな赤色で、これに比べると、静脈の血の色はかなり暗(くら)い赤らしいわ。
◇ののちゃん 動脈なら赤く見えるのかな。
◆先生 むずかしいわね。動脈はふつう、体の深い部分を通っているので見えないの。静脈は皮膚のすぐ下にあるから分かるのよ。
◇ののちゃん なーんだ。残念だね。
◆先生 あきらめるのは早いわ。赤い血の色が見える場所もあるのよ。ののちゃん、この鏡(かがみ)の前で「あかんべー」をしてみて。
◇ののちゃん あっかんべー。あっ、下まぶたの裏側は赤いよ。
◆先生 でしょう。まぶたの裏側は膜(まく)が薄(うす)いので、血の色が分かるのよ。見えているのは、動脈と静脈がつながった毛細(もうさい)血管という細かい血管を流れている血なの。毛細血管の壁も薄いので、すけやすいのよ。唇(くちびる)の色も、皮(かわ)のすぐ下を通っている血の色がすけているのよ。
◇ののちゃん そういえばこの間、プールで唇が紫色(むらさきいろ)になったよ。
◆先生 寒(さむ)さで唇の血管がきゅっと縮(ちぢ)まって、血が流れにくくなったからよ。「チアノーゼ」というの。心臓(しんぞう)の病気などで酸素が不足して起こる場合もあるわ。
(取材協力=門脇則光・京都大病院講師、清水孝一・北海道大教授、浜松ホトニクス、構成=久保佳子)
(朝日新聞社発行 7月10日付be)
(1)静脈が青くすけて見える体の場所(ばしょ)は、腕や手以外にもあるよ。探(さが)してみよう。
(2)体の奥(おく)の方にある動脈も、手首や首筋(くびすじ)などでは浅(あさ)いところを通っているよ。指(ゆび)をあてて、トクトクと打つ脈を感(かん)じ取ってみよう。