◆藤原先生 ののちゃん、おなかをかかえてどうしたの?
◇ののちゃん お店で買(か)ってきた卵を温(あたた)めているんだよ。早く、ヒヨコが生まれないかなあ。
◆藤原先生 卵を採(と)る養鶏場(ようけいじょう)には、めんどりだけが飼(か)われていて、産(う)むのは温めてもヒヨコにならない無精卵(むせいらん)なの。お店で売っている卵の99%以上は無精卵だから、ののちゃんが温めてもヒヨコにならないのよ。
◇ののちゃん ヒヨコはどうしたら生まれるの?
◆藤原先生 ヒヨコになる卵は有精卵(ゆうせいらん)といって、おんどりと交尾(こうび)しためんどりが産む卵なの。めんどりの体の中で、成熟(せいじゅく)した卵黄(らんおう)が卵管(らんかん)に入って、24〜25時間かけて通過する間に卵白(らんぱく)や硬(かた)い殻(から)ができるのよ。その間に精子(せいし)が受精(じゅせい)したら有精卵になるの。有精卵を約37度の温度(おんど)で21日間温めると、ヒヨコが生まれるわ。
◇ののちゃん 有精卵と無精卵は簡単(かんたん)に見分けられるのかな。
◆藤原先生 殻のついた状態(じょうたい)では専門家(せんもんか)でも見分けがつかないわ。生卵を割ってよく観察(かんさつ)すると、黄身(きみ)の上に直径3〜4ミリの白い輪があるの。胚(はい)といってヒヨコに成長する部分なんだけど、専門家が注意深く見ると、有精卵の胚は無精卵より少しだけ大きいの。食べてもほとんど分からないわ。
◇ののちゃん ニワトリは毎日卵を産むの?
◆藤原先生 毎日は産めないわ。数日間卵を産み続けた後、1〜2日休んで、また数日間産むというサイクルを繰(く)り返(かえ)すの。ほぼ毎日産むめんどりもいるけど、平均(へいきん)すると、年間で280個ぐらい産むわ。
◇ののちゃん ほかの鳥はどうなのかなあ。
◆藤原先生 ほとんどの鳥は、春に交尾して卵を産むのよ。スズメは毎日一つずつ計4〜5個、イヌワシは2日に1個ずつ計2個産むわ。卵の数は種類によってだいたい決まっているの。キジは計10個以上産むのよ。しかも、天敵(てんてき)に襲(おそ)われて卵が減(へ)ったりすると、減った分だけ卵を産み足せるのよ。ニワトリはキジの仲間(なかま)だから、たくさん産めるのね。
◇ののちゃん ニワトリは昔からたくさん卵を産んでいたの?
◆藤原先生 家畜のニワトリは、東南アジアにいた野生(やせい)のニワトリを4000年以上前に人間が飼いならしたものなの。たくさん卵を産めるめんどりを人間が選んで何世代も交配(こうはい)してきたのよ。20世紀になって品種改良(ひんしゅかいりょう)が進んで、25%程度だった年間の産卵率(さんらんりつ)は60年代には60%弱にまで上がったの。今では優秀なニワトリが輸入されていて、産卵率は80%にもなっているのよ。
(取材協力=家畜改良センター岡崎牧場・山田祐代(さちよ)さん、立教大・上田恵介さん、日本養鶏協会・島田英幸さん、構成=中村浩彦)
(朝日新聞社発行 7月17日付be)
◇調べてみよう
(1)白い卵と茶色い卵があるけど、どう違うのかな。卵を採るニワトリと、トリ肉(にく)にするニワトリにはどんな種類がいるのかな。
(2)日本で養鶏が盛(さか)んな所はどこだろう。日本人は1年間に、ひとり当たり卵を何個食べているかな。