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海の深さと生き物の関係めやす |
◇ののちゃん 科学館(かがくかん)で、深(ふか)さ1000メートルの海(うみ)に沈(しず)めた空(から)っぽのカップラーメンの入れものを見たよ。ぎゅっと縮(ちぢ)んで小さくなっていた。水の中ってすごいんだね。
◆藤原先生 水の重(おも)さに押(お)されるからよ。地上の圧力(あつりょく)は1気圧(きあつ)で、水圧(すいあつ)は10メートル深くなるごとに1気圧ずつ増えるわ。1000メートルだと100気圧を超(こ)え、1平方センチに100キロの力がかかるの。
◇ののちゃん 聞いただけでつぶされそう。深海魚って、200メートルより深いところにいる魚(さかな)をいうことが多いらしいけど、どうしてつぶれずに生きられるの?
◆先生 空のペットボトルと、水を満(まん)タンにしたペットボトル。深い海に沈めるとどうなると思う?
◇ののちゃん 両方(りょうほう)ともつぶれそうだけど…。
◆先生 水で満タンのボトルは、深さ6500メートルでもつぶれなかったわ。固体(こたい)や液体(えきたい)は圧力に強(つよ)いのよ。魚や人間の体を形づくる細胞(さいぼう)は水分で満(み)たされているから、つぶれにくいの。
◇ののちゃん どんなに深くても大丈夫なの。
◆先生 あまりにも圧力が強いと、固体や液体も少しは押しつぶされるわ。人間の細胞を使った実験(じっけん)では、4000〜5000メートルの水圧になると変形(へんけい)したそうよ。細胞を支(ささ)えているたんぱく質(しつ)の形がゆがんでしまうの。もっと深い海にいる魚は、圧力に強い特別(とくべつ)なたんぱく質を使っているようね。
◇ののちゃん じゃあ、なぜラーメンのカップは1000メートルであんなに縮むの。
◆先生 使われている素材(そざい)を切ってみると、スカスカで空気がたくさん入っているわ。気体(きたい)はつぶれやすいの。人間も、潜(もぐ)ると肺(はい)が縮んで息苦(いきぐる)しくなるでしょ。
◇ののちゃん 魚にも「うきぶくろ」があるよ。
◆先生 たしかに、ガスの入ったうきぶくろは水圧で縮むわ。メダカの水槽(すいそう)に圧力をかけると、泳ぎながらだんだんと沈んで、やがて底(そこ)に落ちてしまうわ。でも深海魚のうきぶくろにはガスでなく油(あぶら)が詰(つ)まっているの。うきぶくろがなくて、体の中に油をためて浮力(ふりょく)をかせぐ魚もいるのよ。
◇ののちゃん ふーん。魚にもいろいろあるんだね。
◆先生 深海魚を無理(むり)やり水面に引きあげると、うきぶくろや胃袋(いぶくろ)の中にあるガスが急にふくらんで、体が破裂(はれつ)することがあるの。ゆっくりなら深さ2000メートルからでも連(つ)れてこられるけど、途中で弱(よわ)ってしまう。どんなえさをあげたらいいか分からないこともあって、うまく飼(か)えないのよ。
◇ののちゃん 深海魚って変(か)わった生き物だね。
◆先生 人間からみれば、そうね。でも、深海魚にしてみれば、水圧のない世界で生きる人間の方がふしぎな生き物じゃないかしら。
(取材協力=三輪哲也・海洋研究開発機構グループリーダー、日本科学未来館ほか、構成=安田朋起)
(朝日新聞社発行 8月7日付be)
◇調べてみよう
(1)私たちがよく食べる魚は、どのくらいの深さで生きているのかな。
(2)マッコウクジラは魚ではなく、肺を持つ哺乳類(ほにゅうるい)だけど、深さ3000メートルまで潜れる。なぜだろうか。