◇ののちゃん ぎゃ! このネジ回(まわ)しじゃ、箱(はこ)のネジをはずせない。
◆藤原先生 マイナスのネジに、プラス用のネジ回しを使ってるからよ。
◇ののちゃん 面倒(めんどう)くさい。何で2種類もあるの?
◆先生 マイナスのネジは正式(せいしき)には「すりわり付(つ)き」ネジ、プラスは「十字穴(じゅうじあな)付き」ネジというの。ほかにも四角や六角形の穴が付いたものがあるわよ。車のナンバープレートや自販機(じはんき)など、いたずらされたら困るネジは特殊(とくしゅ)な形をしているわ。昔はほとんどがマイナスネジで、戦後(せんご)に米国(べいこく)からプラスネジが入ってきて、いまはほとんどこの形ね。
◇ののちゃん へえ。
◆先生 マイナスネジは、ネジの頭にノコなどで切(き)り込(こ)みを入れるだけだから、作りやすかったのね。プラスネジは、1936年に米国のヘンリー・フィリップスが特許を取ったの。自動車(じどうしゃ)に大量(たいりょう)に使われるようになって普及(ふきゅう)したのよ。
◇ののちゃん どこがよかったのかな?
◆先生 プラスネジは、ネジ回しがちょっと斜(なな)めになっていても締(し)めたりゆるめたりできるでしょう。たくさんのネジを扱(あつか)うときに、作業(さぎょう)の効率(こうりつ)がいいのよ。
◇ののちゃん マイナスネジはだめなの?
◆先生 きちんと真上(まうえ)から回さないといけないけれど、力をかけやすいので、最後まできちんと締められるわ。そこで比較的(ひかくてき)大きなものをしっかり固定(こてい)するのに使われているの。頭の部分に水などがたまりにくいのでさびにくく、戸外(こがい)でも使われるわ。
◇ののちゃん ネジって、いつからあるんだろう?
◆先生 アルキメデスの時代から、らせん状の溝(みぞ)を回して水をくみ上げるポンプが使われていたけど、これもネジの応用(おうよう)ね。また、ネジの先に板を付けて、ネジを回して下にあるオリーブやブドウを押しつぶすプレスという機械(きかい)も仲間(なかま)ね。初期(しょき)の印刷機(いんさつき)は、この原理(げんり)で版(はん)を紙に押しつけていたの。いまでも新聞をプレスというのは、その名残(なごり)よ。
◇ののちゃん そういうことだったの。
◆先生 ◇ののちゃんの箱をとめているような、締結用(ていけつよう)のネジは、15世紀のダビンチの時代から使われ始めたと言われているわ。日本には16世紀に火縄銃(ひなわじゅう)と一緒(いっしょ)に入ってきたらしいの。
◇ののちゃん そうか。
◆先生 たくさん使われるようになったのは、産業革命(さんぎょうかくめい)からね。それまでは手作りだったものが、機械で大量に作れるようになったのね。大きさがバラバラだと、メーカーや国が違(ちが)う場合、修理(しゅうり)できなくなるでしょう。そこで、メートルやインチ単位(たんい)で、世界のどこでも使えるよう、戦後に国際的(こくさいてき)に標準化(ひょうじゅんか)されたの。
(取材協力=日本ネジ研究協会専務理事・大磯義和さん、構成=服部桂)
(朝日新聞社発行 10月16日付be)
◇調べてみよう
(1)身の回りのもので、一番たくさんネジが使われているのは何かな?
(2)ネジの材料(ざいりょう)は鉄(てつ)が多いけれど、ほかの金属(きんぞく)も使われる。なぜだろう?
(3)ボルトやビスも、ネジの仲間だけれど、それらの違いは?