◇ののちゃん 今日のおかずはホウレンソウのおひたし。きれいな緑色だね。
◆藤原先生 植物(しょくぶつ)にとって緑はとっても大切(たいせつ)な色なのよ。もしそれがなかったら植物はこの地球上(ちきゅうじょう)でこんなに繁栄(はんえい)していないわ。
◇ののちゃん どうして?
◆先生 植物が生きていけるのは「光合成(こうごうせい)」っていう働(はたら)きがあるからなの。太陽の光エネルギーを使って、二酸化炭素(にさんかたんそ)や水から糖(とう)やでんぷんなど生きていくのに必要(ひつよう)な炭水化物(たんすいかぶつ)を作って酸素(さんそ)をはき出す働きよ。緑色はその光エネルギーの取り入れ口なの。
◇ののちゃん 葉緑素っていう色素なんだよね。
◆先生 よく知っていたわね。クロロフィルともいうわ。植物の葉っぱの細胞(さいぼう)の中には、葉緑体(たい)っていう小さな粒(つぶ)がいくつも入っているの。その中にある緑の色素(しきそ)が葉緑素よ。
◇ののちゃん なんで緑なんだろう。
◆先生 太陽の光をプリズムで分けると虹(にじ)の7色になるでしょ。光を効率(こうりつ)よく取り入れるためには、本当は7色のどの光も吸収できる真っ黒がいいけれど、そういう色素って植物は作れないの。
◇ののちゃん へえー。
◆先生 葉緑素は、赤い光と青い光を吸収できるの。赤と青の間にある緑色の光は吸収できなくて反射(はんしゃ)したり透過(とうか)したりして人間の目に入るの。だから緑色に見えるのよ。
◇ののちゃん 緑じゃない葉を持った植物もあるね。
◆先生 たとえば、シソの赤い葉は葉の表皮(ひょうひ)には赤い色素を持っているけれど、一皮むくと中は緑色なの。赤いのは強い光から葉っぱを守(まも)る、一種(いっしゅ)のサングラスのようなものね。例外として光合成をやめて他の植物やキノコから栄養(えいよう)を横取(よこど)りして生きる植物では、葉緑体が退化(たいか)して緑じゃないものがあるわ。真っ白なギンリョウソウがいい例(れい)ね。
◇ののちゃん 花は緑じゃなくていろんな色だね。
◆先生 きれいな花びらも実は葉が変化(へんか)したものなの。緑の代(か)わりに赤や黄、青の色素があるのは、色で花だということを強調(きょうちょう)し虫や鳥を呼ぶためなのよ。
◇ののちゃん 最初(さいしょ)から植物は緑色なの?
◆先生 地球が生まれて18億年(おくねん)たった時。今から27億年前ごろの先カンブリア時代(じだい)にいた光合成をする青緑色の微生物(びせいぶつ)、シアノバクテリア(藍藻(らんそう))が葉緑体の起源(きげん)といえるの。だから最初から緑色といえるでしょうね。シアノバクテリアが増えると、その光合成でできた酸素が地球の空気の中に多くなってきたの。私たちのような酸素がなければ生きられない動物が生きているのも植物の緑のおかげといってもいいわね。
(取材協力=塚谷裕一・東京大教授、田中歩・北海道大低温科学研究所教授、構成=内村直之)
(朝日新聞社発行 10月30日付be)
◇調べてみよう
(1)植物は葉緑素以外にもいろいろな色素を持っているよ。どんな種類(しゅるい)があって、どんな色をしているのだろうか。
(2)秋の今頃になると、緑の色素が壊(こわ)れて葉が赤や黄色になる樹木(じゅもく)がある。紅葉(こうよう)の様子(ようす)を調べてみよう。