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衣服に穴をあける害虫 |
◇ののちゃん お気に入りのセーターをタンスから出したら、穴があいていたんだ。恥(は)ずかしくて着られなかったよぉ。
◆藤原先生 虫に食(く)われたのね。衣料害虫(いりょうがいちゅう)といって、日本では4種類が知られているわ。小型の甲虫(こうちゅう)、カツオブシムシの仲間(なかま)と、「衣類(いるい)につく蛾(が)」から名付けられたイガの仲間よ。悪さをするのは幼虫(ようちゅう)の時ね。そのほかに、ゴキブリが衣類をかじることもあるそうよ。
◇ののちゃん どんなふうに食べられちゃうの?
◆先生 専門家(せんもんか)によると、ヒメマルカツオブシムシの幼虫による被害(ひがい)が最も多いというわ。ウール素材(そざい)の衣類をしまうタンスの中に潜(ひそ)んでいて、セーターのあちこちに丸い穴をあけるわ。名前からわかるけど、かつお節(ぶし)や煮干(にぼ)しなどの食品も食べるのよ。ケラチンという動物性たんぱく質(しつ)を含(ふく)んだものが好物(こうぶつ)なの。
◇ののちゃん じゃあ、化学繊維(かがくせんい)とかなら、大丈夫(だいじょうぶ)なんだ。
◆先生 そうでもないのよ。食べ始めるのは、不思議(ふしぎ)とソースとかビールとかの染(し)みがついたところらしいの。毛糸(けいと)や絹(きぬ)でなくても、こうした食物の食べ残しが衣類についていると、被害にあうことがあるそうよ。
◇ののちゃん 私と一緒(いっしょ)で結構(けっこう)、食(く)いしん坊(ぼう)なんだな。どっからやってくるの?
◆先生 カツオブシムシの幼虫は暗(くら)いところが好きなの。でも成虫(せいちゅう)は明(あか)るいところがいいみたい。5月ごろ、白い花に集まるわ。ちょうど衣替(ころもが)えの季節(きせつ)でしょ。白っぽい衣類を屋外(おくがい)に干しておくと、寄(よ)ってきて卵(たまご)を産(う)み落(お)としていくそうよ。タンスの中で人間が知らない間に、卵から幼虫が生まれ、大切(たいせつ)な衣類をバリバリと食べるの。
◇ののちゃん 聞くだけで、ぞわーっ、とくるな。
◆先生 そんな性質(せいしつ)も使いようがあるの。博物館(はくぶつかん)にいくとよく動物の骨(ほね)が組み立てられて展示(てんじ)してあるでしょ。この標本(ひょうほん)を作るときには、仲間のハラジロカツオブシムシが活躍(かつやく)するわ。骨と幼虫を一緒にしておくと、人が取れなかった細(こま)かいところの肉(にく)をきれいに食べてくれるので、ピカピカの骨格(こっかく)標本ができるのよ。
◇ののちゃん ねえ、衣類を守(まも)る方法(ほうほう)はないの?
◆先生 外から取り込んだ時は、虫や卵を落とすためにきちんとブラッシング。しまう前にきれいに洗濯(せんたく)やクリーニングをすることね。コイガの幼虫は100分の1ミリ程度のすき間を通(とお)り抜(ぬ)けたという実験結果(じっけんけっか)もあるので、服(ふく)と一緒に防虫剤(ぼうちゅうざい)を入れること。防虫剤は効果(こうか)が全体に広がるまでに時間がかかるから、やはり事前(じぜん)の手入れが大切よ。
(取材協力=大日本除虫菊中央研究所生物研究室長、神崎務さん、構成=平子義紀)
(朝日新聞社発行 1月8日付be)
◇調べてみよう
(1)防虫剤は、衣類をしまっておく時に使う。虫を殺(ころ)す場合に使う殺虫剤(さっちゅうざい)と、効(き)き方(かた)や使い方がどう違(ちが)うのか、考えてみよう。
(2)屋外で咲(さ)く花を家の中に持ち込むとき、気をつけなければいけないのは何だろう。