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周期が同じになる仕組み |
◇ののちゃん 満月(まんげつ)はきれいだね。でもなぜあの模様(もよう)はいつも同じなの。ウサギには見えないけど……。
◆藤原先生 私たちが地球(ちきゅう)から丸い月を見る時、いつも同じ面(めん)を見ているのよ。裏側を地球に向けることはないの。人類(じんるい)は、旧(きゅう)ソ連の月探査機「ルナ3号」が59年に月の裏側にまわって写真(しゃしん)を撮(と)るまで、月の裏を見たことがなかったのよ。
◇ののちゃん どうして月は裏側を見せないの。
◆先生 月は地球の衛星(えいせい)で、約38万キロ離(はな)れた地球のまわりを約27日で1周しているわ。これを月の公転運動(こうてんうんどう)というの。一方、月は自分でぐるぐるまわる自転(じてん)運動もしていて、これも約27日で1周するわ。つまり、月は公転運動と自転運動の周期(しゅうき)が全(まった)く同じなの。だから、同じ側しか地球に見せないのよ。厳密(げんみつ)にいうと、自転軸(じく)が傾(かたむ)いていることなどによって、月の表面の59%が地球から見えるだけなのよ。
◇ののちゃん 公転と自転はどんな星でも同じ周期なの。
◆先生 同じとは限(かぎ)らないわ。たとえば地球。太陽の周囲を回る公転は1年で、自転は1日でしょ。月と同じように、自転周期と公転周期が同じだったら、表はずっと昼、裏はずっと夜になって大変(たいへん)だわ。
◇ののちゃん なぜ月はそんな特別なまわり方をしているの。
◆先生 それは、地球と月が互(たが)いに及(およ)ぼし合う引力のせいなの。たとえば月の引力が地球の海水(かいすい)に働くと、潮(しお)の満(み)ち引(ひ)きを起こすでしょう。こういう星と星の間の力を、一般(いっぱん)に潮汐力(ちょうせきりょく)というの。
◇ののちゃん ふーん。
◆先生 強い地球の引力が月に働くと、硬(かた)い月でも地球の方向にわずかに細長く伸びるの。長くなっている方向が地球の中心からずれると、月に働く地球の引力が、それを打ち消すように働くので、月の自転周期が調節されて、公転周期と同じになってくるのよ。
◇ののちゃん 自然にそうなっちゃうんだね。
◆先生 月ができたばかりの46億年くらい前は、違(ちが)う自転の仕方(しかた)をしていたかもしれないけれど、長い間に今のような向きになったのよ。
◇ののちゃん ほかの衛星もそうなの?
◆先生 太陽と太陽系(けい)の惑星(わくせい)のように距離(きょり)が遠いと、そうはならないけれど、惑星と衛星のように距離が近いと、大きな潮汐力を受けて、そうなることが多いわ。火星の衛星フォボスやダイモスをはじめ、月のような衛星は、太陽系にはたくさんあるわ。
◇ののちゃん そうか、月だけじゃないんだね。
(協力=宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究本部 安部正真助手、構成=内村直之)
(朝日新聞社発行 2月26日付be)
◇調べてみよう
(1)月の満ち欠(か)けをもとにした太陰暦(たいいんれき)は、どんな暦(こよみ)かな。
(2)人類は月をどんなふうに探検(たんけん)してきたのかな。旧ソ連の「ルナ」や米国のアポロ計画(けいかく)、日本の月探査(たんさ)計画などを調べてみよう。