◇ののちゃん きのう、お父(とう)さんが酔(よ)っぱらって帰(かえ)ってきた。お酒(さけ)を飲(の)むとどうして酔うの。
◆藤原先生 お酒は、私にまかせてね。
◇ののちゃん えっ?
◆先生 そうね、お酒にはアルコールが含(ふく)まれていて、それが脳(のう)の働(はたら)きを乱(みだ)すために酔うのよ。
◇ののちゃん 口から飲んだアルコールが、脳にたどりつくの?
◆先生 アルコールは、胃(い)や腸(ちょう)から吸収(きゅうしゅう)されて、血液(けつえき)に溶(と)けるの。大部分(だいぶぶん)は肝臓(かんぞう)で分解(ぶんかい)されていくけど、残(のこ)りが、脳やほかの臓器(ぞうき)に運(はこ)ばれるのよ。
◇ののちゃん お酒を飲んでる人は、お酒のにおいがするよ。
◆先生 それは肺(はい)の中で、血液中からアルコールが出てきて息(いき)に混(ま)ざるからよ。自動車(じどうしゃ)を運転(うんてん)している人がお酒を飲んでいないか、警察官(けいさつかん)が息を測(はか)るでしょ。息の中のアルコール量(りょう)を測ると、血液中にどれくらいアルコールが混ざっているか、だいたいわかるの。
◇ののちゃん 飲むと、よくしゃべるようになったり、ふらふら歩いたりと、酔い方もいろいろだね。
◆先生 脳の中では、神経細胞(しんけいさいぼう)が互(たが)いに連絡(れんらく)をとりあって何かを覚(おぼ)えようとか、言葉(ことば)をしゃべろうとか、いろいろな指令(しれい)を出しているのね。倒(たお)れないように体のバランスをとることも痛(いた)みを感(かん)じることも脳の働き。でも、アルコールが入ると、そうした働きを乱すのよ。それで、物忘(ものわす)れをしやすくなったり、不安(ふあん)な気持(きも)ちがうすれて陽気(ようき)になったりするの。がまんしていた気持ちが表(おもて)に出てきたり、眠(ねむ)くなったりもするわ。
◇ののちゃん 今朝(けさ)、お父さんは二日酔(ふつかよ)いだって。
◆先生 そのつらさ、わかるけど……。飲み過ぎると肝臓でアルコールを分解しきれなくて、アセトアルデヒドという分解途中(ぶんかいとちゅう)のものが体に残って、頭が痛くなったり吐(は)き気(け)がしたりするのよ。乗り物酔いとはしくみが違うものよ。
◇ののちゃん なんで子どもはお酒を飲んだらいけないの。
◆先生 人間の脳は、アルコールで働きがじゃまされると、だんだんアルコールが入ってきてもだいじょうぶなように慣(な)れてくる力を持っているの。でも、子どもは脳が発達(はったつ)の途中だから、アルコールになれてしまうとちゃんと発達しなくなってしまうの。大人でも飲み続けていると、アルコールを飲まずにいられなくなる依存症(いぞんしょう)という病気になる場合(ばあい)があるわ。子どもは大人よりずっとお酒にのめり込みやすいうえに治りにくいんだって。
◇ののちゃん それは困る。先生も気をつけてね。
◆先生 ……。
(取材協力=東京都精神医学総合研究所・池田和隆さん、妹尾(せのお)栄一さん、構成=岩切勉)
(朝日新聞社発行 4月23日付be)
◇調べてみよう
(1)お酒にはビールやウイスキー、ワインなどいろんな種類(しゅるい)があります。それぞれどんな原料(げんりょう)でできているのか、調べてみよう。
(2)お酒のアルコールの濃(こ)さはいろいろです。ビール1本分がほかのお酒だとどれくらいの量(りょう)に当(あ)たるかな。