◇ののちゃん 動物園(どうぶつえん)でサルを見たよ。人間(にんげん)は昔(むかし)、サルだったって本当なの?
◆藤原先生 よく知っているわね。私たちの祖先(そせん)をさかのぼっていくと、ニホンザルやゴリラなどのサルの仲間(なかま)にたどりつくの。一番ヒトに近いのはチンパンジー。ざっと600万年前に共通(きょうつう)の祖先から分かれて、別の進化(しんか)の道をたどったといわれているわ。
◇ののちゃん 進化って賢(かしこ)くなったってこと?
◆先生 ちょっと違(ちが)う。進化は時間(じかん)がたつにつれて生物(せいぶつ)の形(かたち)や仕組(しく)みが変わっていくことをいうの。ヒトはアフリカで2本足で立って歩いたのが始(はじ)まり。骨(ほね)の化石(かせき)や道具(どうぐ)などを調(しら)べると多くの種(しゅ)に分かれながら各地(かくち)に進出(しんしゅつ)し、20万年ほど前、私たちホモサピエンスが現(あらわ)れて一種(いっしゅ)だけ生き残(のこ)ったことが分かってきたわ。
◇ののちゃん ヒトも昔はサルっぽかった?
◆先生 たぶんね。猿人(えんじん)といって、2本足で立ったことで両手が自由になり、だんだんと火や道具、言葉(ことば)を使うようになった。気候(きこう)や食べ物、敵(てき)などの環境(かんきょう)に合わせて生き抜(ぬ)くうちに、今のような姿(すがた)になったと考えられているわ。
◇ののちゃん それじゃあ、今いるサルもそのうちヒトに進化したりして。
◆先生 それは無理(むり)。たとえば、祖先が同じでも犬はオオカミになれないように、一度分かれたら進化は後戻(あともど)りすることはないの。時間とともに進むもので、水中(すいちゅう)で生活(せいかつ)していた動物が陸(りく)にあがって、また水に戻っても、それは進化。
◇ののちゃん 何百万年たってもヒトにならない?
◆先生 可能性(かのうせい)はものすごく低いけど、サルがヒトのように進化することがあるかもしれない。でも、それは似(に)ているだけ。ヒトが歩んだ歴史(れきし)と同じ道筋(みちすじ)をたどることはありえないもの。
◇ののちゃん 頭のいいチンパンジーもいるよね。
◆先生 遺伝情報(いでんじょうほう)って知ってる? 細胞(さいぼう)の中にある、からだをつくる設計図(せっけいず)なんだけど、チンパンジーとヒトの遺伝情報は約12%違うわ。チンパンジーも教えれば言葉を覚(おぼ)えるけれどヒトのようには使えないの。脳(のう)の大きさは3分の1。私たちのように社会生活に大事な他者(たしゃ)の心を理解(りかい)したり、教えあったりすることもないそうよ。
◇ののちゃん 先生はともかく、ヒトが一番進化したってこと?
◆先生 40億年ほど前に生物(せいぶつ)が誕生(たんじょう)してから、多くの種が現れては滅(ほろ)んでいったの。生き残っているものは鳥や魚、花も細菌(さいきん)も、すべてが進化の最先端(さいせんたん)にいてヒトだけが特別(とくべつ)ではないのよ。でも、どうしてヒトだけがこんなになったのか、なぞは多いわ。
(取材協力=東京大教授長谷川寿一(としかず)さん、京都大教授山極寿一(やまぎわじゅいち)さん、構成=佐藤久恵)
(朝日新聞社発行 6月11日付be)
◇調べてみよう
(1)私たちヒトの祖先にはどんな種がいて、どういうふうに暮(く)らしていたんだろう。
(2)うちで飼(か)っている犬や猫、身近な鳥や花の祖先を、図鑑(ずかん)などでたどってみよう。