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ポインターを動かせるか |
◇ののちゃん お兄ちゃんのノートパソコンでゲームして遊(あそ)んでたとき、妙(みょう)なことに気づいちゃった。
◆藤原先生 あらあら、壊(こわ)すようなことしないでよ。
◇ののちゃん そんなんじゃないよ。ノートパソコンで、画面(がめん)の矢印(やじるし)マークを動(うご)かすために指(ゆび)でスリスリこする部品(ぶひん)があるでしょう。
◆先生 タッチパッド、などと呼(よ)ばれる部分(ぶぶん)ね。矢印はポインターと言うのよ。
◇ののちゃん そのパッドをね、ボールペンのキャップや鉛筆(えんぴつ)の頭(あたま)、物差(ものさ)しとか、指以外(いがい)のものでこすっても、ポインターはピクリとも動かないんだよ。
◆先生 おもしろいことに気づいたわね。実は、パッドの下に、わずかな電気(でんき)の流(なが)れの変化(へんか)をとらえる仕組(しく)みがあるの。パッドに指が触(ふ)れると、その部分の下では電気の流れが少し減(へ)るわ。でも、指に電気が流れるわけじゃないのよ。電気の用語(ようご)では「静電容量(せいでんようりょう)が小さくなる」というの。パッドの上で指を動かすと、電気の流れが小さくなった場所(ばしょ)の移動(いどう)が、ポインターに伝(つた)わるの。
◇ののちゃん ボールペンなどで動かないのは?
◆先生 電気の流れが小さくなるには、触れるものが、電気を通(とお)す性質(せいしつ)を持(も)つ「導体(どうたい)」でなければならないの。人体(じんたい)は導体だけど、ボールペンのキャップや物差しは導体ではないの。
◇ののちゃん へえ〜。でも、指でも先(さき)っぽやツメの側(がわ)でパッドに触れると、ポインターは動かないよ。
◆先生 一定(いってい)の面積(めんせき)以上(いじょう)の導体が触れないと、パッドが「指が触(さわ)った」と見(み)なさない設計(せっけい)にしてあるの。指以外の導体が触れてポインターが誤(あやま)って動いてしまうのを防(ふせ)ぐためよ。ツメは硬(かた)くて曲面(きょくめん)だから、触れる面積が不足(ふそく)するのね。
◇ののちゃん 導体に反応(はんのう)するといっても、いろんな硬貨(こうか)でパッドをこすっても反応しなかったよ。
◆先生 硬貨を立ててこすったんでしょ。先生のパソコンのパッドに、硬貨を寝(ね)かせて動かしてごらん。
◇ののちゃん あっ、ほんとだ、ポインターが動く。
◆先生 製品(せいひん)によっては、触れる導体の面積が大きすぎても指とは見なさない設計になっていて、500円玉では動かないけど、1円玉なら動く、といったこともあるわ。
◇ののちゃん それとね、マウスのクリックにあたる操作(そうさ)なんだけど……。
◆先生 「タップ」ね。
◇ののちゃん パッドに振動(しんどう)のセンサーがあるの?
◆先生 いいえ。鉛筆の頭などでパッドをたたいても、タップにはならないわ。これは、指で触れた時間(じかん)の長さがある程度(ていど)以下だと、パッドが「触れられたんじゃなくて、たたかれたんだ」と判断するの。
(取材協力=アルプス電気・重高寛さん、構成=武居克明)
(朝日新聞社発行 7月9日付be)
◇調べてみよう
(1)ソーセージや細切(ほそぎ)りの野菜(やさい)でパッドに触れるとポインターは動くかな? 大人(おとな)に断(ことわ)ってから試(ため)そう。
(2)パッドの上で指をゆっくり滑(すべ)らせたときと、急(きゅう)に動かしたときで、ポインターの動きは変(か)わるかな。