◇ののちゃん ケーキつくりたいけど、イチゴがスーパーにないの。どうして缶詰(かんづめ)がないんだろう。
◆藤原先生 クリスマスケーキ? 気(き)が早(はや)いわねぇ。果物(くだもの)の缶詰をどうやってつくるか知(し)ってる?
◇ののちゃん ……。
◆先生 材料(ざいりょう)の果物をシロップに入(い)れて缶に密封(みっぷう)するの。それから85度(ど)から95度ぐらいのお湯(ゆ)につけて温(あたた)めるのよ。
◇ののちゃん へぇー。だけど、イチゴもそうすればいいじゃん。
◆先生 日本(にほん)缶詰協会(きょうかい)がためしにつくったら、イチゴの赤(あか)い色(いろ)はアントシアニンという色素(しきそ)で水(みず)に溶(と)けやすいから煮(に)ると溶(と)けだしてきて、イチゴは白(しろ)っぽくなるし、シロップがピンク色(いろ)になったの。それに熱(ねつ)が加(くわ)わると、ジャムみたいにグニャグニャになって崩(くず)れてしまうわ。
◇ののちゃん でも、サクランボは赤いし、ミカンも色は変(か)わらないよ。
◆先生 赤いサクランボは食(た)べ物用(ものよう)の色をつけているの。ミカンのオレンジ色はカロテンで水に溶けにくいの。カボチャを煮ても黄色(きいろ)のままでしょう。それと同(おな)じよ。
◇ののちゃん モモやパイナップルは熱でグニャグニャにならないの?
◆先生 モモは生(なま)で食べるのはやわらかすぎるから缶詰用はかたいのを使(つか)っているの。パイナップルはそもそも実(み)がしっかりしてるでしょう。バナナも缶詰には不向(ふむ)きね。
◇ののちゃん だけど、どうして煮るの?
◆先生 食中毒(しょくちゅうどく)になるような菌(きん)が増(ふ)えないようにするためよ。酸味(さんみ)の強(つよ)い果物だと、酸の力(ちから)で菌の活動(かつどう)がおさえられるから、ミカンなら低(ひく)めの85度でもいいの。
◇ののちゃん 缶詰ってすごい発明(はつめい)だね。
◆先生 びん詰めや缶詰は200年(ねん)ぐらい前(まえ)のヨーロッパで発明されたのよ。いまのような冷蔵(れいぞう)や輸送(ゆそう)の技術(ぎじゅつ)がないから、食べ物をとっておいたり、遠(とお)くへ運(はこ)んだりするのにとても大切(たいせつ)な方法(ほうほう)だったわ。いまでも、パイナップルは沖縄県(おきなわけん)、ミカンは静岡(しずおか)県というようにたくさんとれるところに工場(こうじょう)を建(た)てて、一番(いちばん)安(やす)いときにまとめ買(が)いしてつくるの。生のくだものより運ぶのも楽(らく)だし、季節(きせつ)はずれに安くできるでしょう。
◇ののちゃん 温めても栄養(えいよう)はだいじょうぶ?
◆先生 空気(くうき)が入(はい)らないので家(いえ)で調理(ちょうり)するより栄養はこわれにくいようよ。熱に弱(よわ)いビタミンB1とCは生とくらべるとかなり減(へ)るらしいの。B1、B2、Cは水に溶けやすいからシロップにでてしまうの。
◇ののちゃん じゃあ、シロップもぜんぶ飲(の)もう。
◆先生 ほどほどにね。
(朝日新聞社発行 11月12日付be)
(取材協力=日本缶詰協会、農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所、構成=鍛治信太郎)
◇調べてみよう
(1)食べ物の缶詰には、どんなものがあるだろう。
(2)缶詰の缶は何(なに)でできているのかな。
(3)食べ物をながく保存(ほぞん)する方法は缶詰以外(いがい)にもあるよ。調(しら)べてみよう。