◇ののちゃん 給食(きゅうしょく)のリンゴに蜜(みつ)がいっぱい入(はい)ってたよ。だれかが注射器(ちゅうしゃき)でハチミツを入(い)れたのかな。
◆藤原先生 蜜を注射して入れるひとがいるわけないでしょ。芯(しん)の周(まわ)りに自然(しぜん)にたまってくるの。
◇ののちゃん へえーっ。どうやってたまるの?
◆先生 葉(は)に光(ひかり)があたると、でんぷんという栄養分(えいようぶん)ができるの。でんぷんは水(みず)に溶(と)けやすいソルビトール(グルシトール)というものに変(か)えられて、枝(えだ)を通(とお)って実(み)に集(あつ)まってくるの。蜜の正体(しょうたい)はこのソルビトールと水よ。
◇ののちゃん ソルビトールは甘(あま)いの?
◆先生 それほど甘くないわ。でも、蜜がたまったリンゴの実が甘いの。枝を通って実に集まるソルビトールは酵素(こうそ)という物質(ぶっしつ)の働(はたら)きで砂糖(さとう)の仲間(なかま)の果糖(かとう)やショ糖に変わっていくの。十分(じゅうぶん)甘くなると、酵素の働きは弱(よわ)くなってソルビトールのままたまるのよ。それが蜜。蜜はリンゴの食(た)べごろの印(しるし)ってわけね。
◇ののちゃん どうやって蜜入りリンゴを作(つく)るの。
◆先生 大切(たいせつ)なのは待(ま)つこと。実をもいでしまうと、蜜はもうできないから、熟(じゅく)すぎりぎりまで収穫(しゅうかく)しないの。それから、気温(きおん)が低(ひく)くなるのを待つわ。これはリンゴの実が皮(かわ)から余(あま)った水分(すいぶん)を外(そと)に出(だ)していることと関係(かんけい)があるの。寒(さむ)くなって実に水滴(すいてき)がつくようになると水分が出にくくなり、結果的(けっかてき)に蜜ができやすくなるの。凍(こお)ってしまうとおいしくなくなるから、寒さにも限度(げんど)はあるけれどね。
◇ののちゃん 蜜が入るのはリンゴだけなの?
◆先生 ナシやモモにも蜜は入るわ。でも、リンゴ以外(いがい)は蜜が入った実は傷(いた)みやすいの。だから売(う)り物(もの)にならないわ。
◇ののちゃん 蜜が入っていないリンゴもあるよ。
◆先生 品種(ひんしゅ)によっても入りやすさが違(ちが)うの。「ゴールデンデリシャス」「つがる」は蜜が入りにくいわ。「ふじ」「スターキング」は蜜が入りやすいの。
◇ののちゃん 私も「ふじ」って甘いから大好(だいす)き。
◆先生 みんな蜜入りのリンゴが好きだから、国内(こくない)で一番(いちばん)多(おお)く栽培(さいばい)されているのは「ふじ」よ。むかし、青森県(あおもりけん)にあった国(くに)の園芸試験場(えんげいしけんじょう)で生(う)まれて、1962年(ねん)に「ふじ」と名付(なづ)けられたの。最近(さいきん)は、中国(ちゅうごく)や韓国(かんこく)でも作られていて、世界一(せかいいち)たくさん作られている品種でもあるのよ。
◇ののちゃん 切(き)らずに甘いかわかる方法(ほうほう)ってある?
◆先生 リンゴのお尻(しり)が黄(き)や赤(あか)なら甘いと思(おも)うわ。でも、木(き)の根元(ねもと)に銀紙(ぎんがみ)を敷(し)いて太陽(たいよう)の光を反射(はんしゃ)させて赤くしていることもあるから、だまされないでね。
(朝日新聞社発行 11月19日付be)
(取材協力=農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所リンゴ研究チーム主任研究員・工藤和典さん、構成=坪谷英紀)
◇調べてみよう
(1)蜜はリンゴの実のどこの部分(ぶぶん)にできるのかな。品種によって違うかどうか、いろんなリンゴの実を縦(たて)や横(よこ)に切って調(しら)べてみよう。
(2)蜜と味(あじ)の関係を調べてみよう。蜜の多い品種、少ない品種でどんな味かな。甘い? それとも酸(す)っぱい?