現在位置:asahi.com>教育>NIE>ののちゃんのDO科学> 記事 ![]() カメはなぜ甲羅干しするの?東京都・岩田勝江さん(68)からの質問 2007年10月24日
◇ののちゃん 公園(こうえん)の池(いけ)でカメたちが水辺(みずべ)に鈴(すず)なりになって甲羅干(こうらぼ)ししてたよ。 ◆藤原先生 人間(にんげん)の日光浴(にっこうよく)まで甲羅干しって言(い)うくらい、おなじみの光景(こうけい)ね。 ◇ののちゃん カメは、なんであんなに我(われ)も我もと日光浴をするのかなあ。 ◆先生 カメは「変温動物(へんおんどうぶつ)」といって、自分(じぶん)の体(からだ)では体温(たいおん)の調節(ちょうせつ)ができないの。だから、周囲(しゅうい)の温度(おんど)が低(ひく)いときは、日光を浴(あ)びて体温を上(あ)げないと活動(かつどう)できないの。カメの甲羅は、甲板(こうはん)というツメのような薄(うす)い層(そう)に覆(おお)われていて、その層の下側(したがわ)に毛細血管(もうさいけっかん)が張(は)り巡(めぐ)らされているので、甲羅干しをすると血液(けつえき)の循環(じゅんかん)で効率(こうりつ)よく体が温(あたた)まるわ。 ◇ののちゃん そうなの。 ◆先生 カメを含(ふく)む爬虫(はちゅう)類(るい)はすべて変温動物だから、ヘビやトカゲも日光浴をするよ。 ◇ののちゃん でも、カメのほかは日光浴してるところを見(み)かけないけど。 ◆先生 住宅街(じゅうたくがい)ではそもそもカメ以外(いがい)、野生(やせい)の爬虫類は少(すく)ないからね。田舎(いなか)に行(い)くと、日当(ひあ)たりのいい石垣(いしがき)やあぜ道(みち)などでトカゲやヘビが日光浴をしてるよ。ただ、何(なに)かあったら水にポチャンと入(はい)ってしまえば安全(あんぜん)なカメほど、のうのうと日を浴びてはいないな。人(ひと)や天敵(てんてき)の気配(けはい)がすればすぐ石の裏(うら)や草(くさ)の中(なか)に隠(かく)れてしまうから、目立(めだ)たないわ。 ◇ののちゃん なるほど。 ◆先生 それに、水中(すいちゅう)は陸上(りくじょう)以上(いじょう)に体温を奪(うば)われるから、カメの日光浴は時間(じかん)が長(なが)くて目につく、という事情(じじょう)もあるでしょうね。 ◇ののちゃん 長いよね。 ◆先生 それとね、私(わたし)たちは食(た)べ物(もの)の中のビタミンD(ディー)や、その原料(げんりょう)になる物質(ぶっしつ)を吸収(きゅうしゅう)できるけど、爬虫類はビタミンDそのものは吸収できないの。だから体に取(と)り込(こ)んだ原料物質に太陽光(たいようこう)を当ててビタミンDに変(か)えることが、ぜひ必要(ひつよう)なの。 ◇ののちゃん へ〜え。 ◆先生 太陽光に含まれる紫外線(しがいせん)という目に見えない光が有効(ゆうこう)なの。ビタミンDは骨(ほね)の成長(せいちょう)に欠(か)かせず、十分(じゅうぶん)に紫外線を浴びないと、甲羅が変形(へんけい)したり、骨が曲(ま)がったりしてしまうわ。 ◇ののちゃん えっ、カメを飼(か)ってる人は気(き)をつけてやらなくちゃ。 ◆先生 日光浴をするもう一つの理由(りゆう)は、体を乾(かわ)かして、皮膚(ひふ)につく寄生虫(きせいちゅう)や菌類(きんるい)を退治(たいじ)することよ。 ◇ののちゃん それにしても、カメの中でも一番(いちばん)水の中で過(す)ごす時間が長いウミガメは、甲羅干しするなんて聞(き)かないなあ。 ◆先生 手足(てあし)や首(くび)を甲羅の中に引(ひ)っ込(こ)められないウミガメにとって、上陸(じょうりく)はとっても危険(きけん)。だから日光浴が必要なほど体温が下がる北(きた)の海(うみ)には泳(ぉよ)いで来(こ)ないわ。熱帯(ねったい)や亜(あ)熱帯のカメも、体温が上がり過ぎる恐(おそ)れがあるから日光浴はしないよ。 (取材協力=愛知学泉大・矢部隆教授、構成=武居克明)
(朝日新聞社発行 10月21日付be)
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