現在位置:asahi.com>教育>NIE>ののちゃんのDO科学> 記事 ![]() フィギュア選手は目が回らないの?2008年01月17日
◇ののちゃん フィギュアスケートってかっこいいね。くるくるきれいに回(まわ)るスピンの後(あと)、ポーズを決(き)めるの大好(だいす)き! ◆藤原先生 私(わたし)もテレビを見(み)ながら拍手(はくしゅ)をしちゃうわ。スケートに、スピンやジャンプが登場(とうじょう)したのは、19世紀後半(せいきこうはん)からよ。スケートにバレエの技(わざ)を取(と)り入(い)れたアメリカ人(じん)のジャクソン・ヘインズさんが、今(いま)のフィギュアスケートの元祖(がんそ)なの。 ◇ののちゃん どのくらいの速(はや)さで回るのかな。 ◆先生 今の選手(せんしゅ)がするスピンは、1秒間(びょうかん)に3〜4回転(かいてん)、全部(ぜんぶ)で十数回(じゅうすうかい)から20回くらいね。 ◇ののちゃん あんなに回ったら、目(め)が回ってふらふら。 ◆先生 目が回るって不思議(ふしぎ)な現象(げんしょう)ね。回転の力(ちから)を感(かん)じる耳(みみ)の奥(おく)にある三(みっ)つの輪(わ)、三半規管(さんはんきかん)というセンサーの情報(じょうほう)と目から入(はい)ってくる情報が食(くい)い違(ちが)って、脳(のう)が混乱(こんらん)してしまうから起(お)こることなの。三半規管の中にはリンパ液(えき)という液体(えきたい)が入っていて、体(からだ)の動(うご)きに応(おう)じて揺(ゆ)れるの。それを、微細(びさい)な毛(け)を持った細胞(さいぼう)が感知(かんち)するのね。体の回転が止(と)まっても中の液体はすぐには止まらないから、回って動いているように感じるの。 ◇ののちゃん 目も動くの? ◆先生 目の動きというのも大(おお)きいのよ。体が回転するのを三半規管が感じると、脳から目にも信号(しんごう)が伝わって反射的(はんしゃてき)に、回転と逆(ぎゃく)の方向に眼球(がんきゅう)が動くわ。頭が動いても見ている像(ぞう)がぶれないようにする「防止装置(ぼうしそうち)」なのね。この反射のおかげで回転が続くと、眼球が動いては戻(もど)るのを繰(く)り返(か)す「眼振(がんしん)」という現象が起こるわ。回転が止まっても、そういう影響(えいきょう)が残るのが、「目が回った」状態(じょうたい)なの。 ◇ののちゃん スケート選手は目が回らないのかなあ。 ◆先生 スケート選手も、初(はじ)めてスピンを練習(れんしゅう)すると、目が回るわ。でも、だんだん慣(な)れて目が回らなくなるの。けがなどで1カ月くらい休(やす)んでから練習を再開(さいかい)すると、最初(さいしょ)の数回のスピンでは目が回るっていうから、慣れと訓練(くんれん)が大きいのね。 ◇ののちゃん バレエみたいに首(くび)を素早(すばや)く回すことはないの? ◆先生 バレエの回転動作(どうさ)では、目が回るのを防ぐために見る点(てん)をなるべく固定(こてい)するように首を速く回すわね。でも、スケートの回転速度はバレエの2倍(ばい)もあるから、その方法(ほうほう)ではとても追(お)いつかないの。 ◇ののちゃん そうかあ。慣れれば私でも目が回らないかな。 ◆先生 左回りにスピンする選手は、目玉を左に寄(よ)せるようにしているの。一点を見ているときょろきょろ動く眼振が起こってしまうけれど、目を一方に寄せてぼやっと景色(けしき)が流(なが)れていくのを感じるだけなら、あまり眼振は起こらないの。 ◇ののちゃん スケート選手も工夫(くふう)してるんだ。 ◆先生 スピンの最後(さいご)にちゃんとした方向(ほうこう)で止まれるのは、回転がゆっくりになってから、まわりを見定(みさだ)めているからなの。訓練された選手は、意識(いしき)しない慣れと同時(どうじ)に、目からの情報を正(ただ)しく判断(はんだん)して正しい行動(こうどう)を起こすことができるのね。やっぱり練習が大切(たいせつ)なんだわ。 (取材協力=千葉大教育学部准教授・吉岡伸彦さん〈スポーツ科学〉、京都大医学部教授・河野憲二さん〈認知行動脳科学〉、構成=内村直之)
(朝日新聞社発行 1月13日付be)
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