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NIE「ののちゃんのDO科学」

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人間はどこまで潜れるの?

香川県・三好康夫さん(46)からの質問

イラスト  

 ◇ののちゃん このあいだ、大人(おとな)用(よう)の深(ふか)い温水(おんすい)プールで泳(およ)いじゃった。がんばって潜(もぐ)ってみたら、底(そこ)にタッチできたよ。人間(にんげん)はどこまで潜れるのかなあ。

 ◆藤原先生 息(いき)を止(と)めて潜る素潜(すもぐ)りだと、ふつうは5メートルぐらいね。ダイビングの指導員(しどういん)さんなら、その倍(ばい)は潜るかしら。漁師(りょうし)さんのなかには30メートルまでいける人(ひと)もいるそうよ。昔(むかし)は40メートルぐらいが人間の限界(げんかい)だと考(かんが)えられていたけれど、足(あし)にヒレをつけて潜るダイビングの競技(きょうぎ)では112メートル、重(おも)りを使(つか)う競技では214メートルという記録(きろく)があるわ。

 ◇ののちゃん すごい! どうすればそんなに潜れるの?

 ◆先生 まず、長(なが)く息を止めていられることが大切(たいせつ)ね。あとは、「耳抜(みみぬ)き」がうまくできないといけないわ。高層(こうそう)ビルのエレベーターに乗(の)って耳がおかしくなった時(とき)、つばを飲(の)み込(こ)むと元(もと)に戻(もど)るでしょ。耳抜きは、あれと同(おな)じことよ。深く潜るにつれて水圧(すいあつ)が強(つよ)くなって耳の奥(おく)の鼓膜(こまく)が内側(うちがわ)にへこむから、耳抜きをしながら潜らないと水深(すいしん)5メートルほどで鼓膜が破(やぶ)れるの。

 ◇ののちゃん ボンベがあればもっと深く潜れるよね。

 ◆先生 素潜りよりは深く潜ることができるけど、それでも限界はあるわ。水圧が高(たか)くなると、ボンベの中(なか)の空気(くうき)に含(ふく)まれている窒素(ちっそ)が体(からだ)に取(と)りこまれやすくなるの。窒素を取りこみすぎると、「窒素酔(よ)い」といって、お酒(さけ)に酔ったような状態(じょうたい)になるわ。深さ30メートルくらいから、起(お)きるそうよ。

 ◇ののちゃん じゃあ、窒素を使わなきゃいいのに。

 ◆先生 そうね。ヘリウムやアルゴンなら酔いを軽(かる)くできるの。中身(なかみ)の違(ちが)うボンベを何本(なんぼん)も持(も)って潜るダイバーもいるそうよ。でも、深く潜るとヘリウムでも酔いが起きるわ。

 ◇ののちゃん ふーん。で、限界はどのくらいなの?

 ◆先生 アメリカの実験室(じっけんしつ)で調(しら)べられたことがあるわ。深さ701メートルまで到達(とうたつ)できたそうよ。もちろん本当(ほんとう)に潜ったわけではなくて、特別(とくべつ)な装置(そうち)で圧力をかける実験だけど。

 ◇ののちゃん うわっ、戻ってこれなくなっちゃいそう。

 ◆先生 戻ってくるときにこわいのは潜水病(せんすいびょう)ね。減圧症(げんあつしょう)ともいって、水面(すいめん)に上(あ)がってくると水圧が下(さ)がって、体に溶(と)けていた窒素が泡(あわ)になって出(で)てくるの。この泡が関節(かんせつ)や筋肉(きんにく)にできると、痛(いた)んだり、しびれたりするわ。死(し)んだり後遺症(こういしょう)が残(のこ)ったりすることもあるそうよ。

 ◇ののちゃん こわい。どうやって治療(ちりょう)するのかな。

 ◆先生 症状(しょうじょう)が重い場合(ばあい)には、潜水艇(てい)みたいな治療施設(しせつ)に入(はい)って、潜ったときと同じような高圧(こうあつ)にして酸素を吸(す)うの。窒素の泡を小(ちい)さくしてからじょじょに圧力を下げ、窒素をゆっくり体から抜(ぬ)いていくの。

 ◇ののちゃん 潜水病を防(ふせ)ぐ方法(ほうほう)はないの?

 ◆先生 潜る時間(じかん)が長いほど、水深が深いほど危(あぶ)ないんだけど、何(なに)より大切なのは浮(う)かび上がり方(かた)なの。浅(あさ)くても急浮上(きゅうふじょう)すると危険(きけん)で、深さ10メートルでも事故(じこ)が起きることがあるの。逆(ぎゃく)に深いところまで長いこと潜っても、ゆっくり浮上すれば潜水病にならずにすむわ。

 (取材協力=山見信夫・東京医科歯科大准教授、構成=西川迅)

(朝日新聞社発行 2月10日付be)


◇調べてみよう

 (1)ボンベを背負(せお)って深く潜るのは、どんなお仕事(しごと)かな。
 (2)呼吸する空気にヘリウムを混ぜると、もっと深く潜れるようになるのは、どうしてだろう。
 (3)世界(せかい)で最(もっと)も深く潜ることができる日本(にっぽん)の潜水調査船(せんすいちょうさせん)は何かな。

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