1.天文学も三角形の幾何学から
古代エジプトでは、ピラミッドの建設やナイル川が氾濫した後に土地を測り直す必要から、実際に三角形を利用した三角測量がおこなわれました。星までの距離を測るときも、地球の公転半径を利用して巨大な直角三角形を描いて求めていました。
このようにしてナイル川のほとりで発達した「幾何学(きかがく)」や「天文学」は、今日でも宇宙の謎を解き明かしたり、土地の測量や地図を作ったりと実生活の様々な場面でおせわになっています。
今回は、七夕にデートする彦星と織姫星にまつわるロマンチックなテーマですが、日常生活のスケールをはるかに超えた桁(けた)違いの内容になっています。ちょっと歯ごたえのある学習になりますが、ぜひ挑戦してみてください。
2.ワークシートの活用法
(1)地球から星までの距離
藤原先生は、二等辺三角形の性質のからわかりやすく説明してくれていますから書き出してみましょう。計算ができることは小中学生の皆さんにもわかると思います。実際の計算はちょっと難しいと思いますが、どのような計算式が考えられるか挑戦してみましょう。
数学Iの授業で「三角関数」を学んだ高校生はできるはずです。お兄さんやお姉さんに質問してみましょう。レベルの高い質問に、きっとビックリすると思いますよ。
(2)三角形を書いて確認
「そんなことできるの?」と思っている皆さん、紙と分度器を用意しましょう。織姫星は地球から25光年、彦星は地球から17光年の距離にあり、地球から見る二つの星の角度は34度です。光年をセンチメートル(cm)と読み替えると、地球と織姫星と彦星を頂点とする三角形が描けますね。
もっとスマートに、計算で求めることはできないのでしょうか、中学生のみなさんなら「三平方の定理」がひらめきますね。でもそれは直角三角形であることが条件になります。図から判断するとそのようにも見えますが…。高校生のみなさんは「余弦(よげん)定理」を活用すれば計算できますね。あとは、関数電卓があると鬼に金棒。
(3)光年とは
光が進むスピードは1秒間に地球を7周半できるとありますが、実際に光は1秒間に何km進むのでしょう。1分間では?1時間では?1日では?と、位どりに注意して計算してみましょう。
光は1年で約9兆5000億キロメートルの距離を進むことが確認できましたか。よく「天文学的な…」という表現がされることがありますが、桁違いのスケールのたとえです。計算してそれが実感できたでしょうか。
夜空を見上げると、何光年、何万光年、何億光年というはるかかなたの光を見ることになります。皆さんの知っている星や星座までの距離が何光年なのか調べてみましょう。
(4)遠い星の距離
遠い星までの距離は、星の色と明るさなどの関係や動く速さから計算することができるそうです。どのようなしくみでその距離を割り出すのか、国立天文台のホームページを活用して調べてみましょう。
星までの距離はどうやって測定するの?(国立天文台)
http://www.nao.ac.jp/J/QA/faq/a0601.html
3.発展学習として
条件がよくないと、なかなか星を観察しにくいものです。ですから、近くにあるプラネタリウムに出かけてみましょう。ていねいな解説とともに地球や星座、そして宇宙のことをしるきっかけになると思います。
プラネタリウム(宇宙のポータルサイトUNIVERSE)
http://www.universe-s.com/facilities/planetarium-index_j.html
わし座の彦星(アルタイル)とこと座の織姫星(ベガ)は、はくちょう座のデネブともに「夏の大三角」を形作る明るい星です。それぞれ別々の星座に属しています。いろいろな星座にまつわる物語について調べてみるのもおもしろいですね。
(参考)『星と星座のひみつ』斎藤国治、木村直人 漫画・相田克太 学研
あまりのスケールの大きさに、「宇宙」というものの実感は持ちにくいものです。そこで、図書館でおもしろい本を見つけました。機会があったら手にとって見てください。
『宇宙―そのひろがりをしろう―』加古里子(かこさとし) 福音館
『広がる宇宙のなぞ』後藤剛 文研出版
(藤沢市立長後中学校・有馬 進一)