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私立中学・高等学校ガイド

全国「帰国子女教育・入試」の最前線

記事提供:学校選択2008年9月号
全国中学入試センター

頭も心も柔らかな時期に異文化の中で生活するのは貴重な体験です。しかし、そんな帰国子女が直面するのが、中学進 学問題。身につけた語学力は伸ばしたい、遅れがちな他教科のサポートもしてほしい…。帰国生入試も活用して、ニー ズにぴったりの学校へ行きたいものです。


海外在住子女は3万人強 中学進学にどう立ち向かうか

都市別 在外教育施設における日本人小学生在籍者数

海外在住の日本人小学生は、約3万2000人ほどいるものとみられています(2007年11月現在/海外子女教育振興財団調べ)。これらの小学生の保護者はもちろん、すでに日本に帰国し、「帰国子女」となった小学生をお持ちの保護者にとって、お子さんの教育問題、とくに中学進学については頭を悩ませていらっしゃることでしょう。
 迷わず公立に進むと決めているなら問題はありませんが、たとえば、せっかく身につけた英語の能力を伸ばそうとするには、ABCから始める授業では物足りなく感じます。それだけならまだしも、同級生と比べて英語能力がひときわ高いことが目立ってしまい、人間関係に影響が及ぶこともあります。
 一方、社会や理科については海外の小学校での学習は遅れがち。特に社会は日本人の常識である地名などがわからないこともあります。


一般入試とは別に行われる帰国生入試をうまく活用する

所在地域別 在外教育施設における日本人小学生在籍者数

そこで、私立中学の受験を考えてみたときに、理科、社会の遅れを考えると一般枠は不利なのではないかという不安がよぎります。
 そういう方のための制度が、帰国枠、つまり、帰国子女を対象とする入試です。
 帰国枠を設けている学校はたくさんありますが、その内容はさまざま。出願資格、入試形態、入学後の対応など、それぞれの学校の考え方に基づき、千差万別です。これらについては、後述します。
 入試日程の面から言うと、帰国枠の試験は一般入試の前に実施されることが多いようですが、一般入試と同一日程、同一内容で実施し、帰国子女のみ面接などを行った上で、優遇措置(各校規定の加点)を取るケースも多く見られます。
 首都圏の場合、一般入試に先立って行われる帰国枠の試験は、早いところで11月、多くの場合、12月から1月の実施となっています。
 帰国枠と一般枠の両方の試験を受けることは可能ですし、また、帰国枠についても、日程的に可能である限り何校受けてもよいわけですから、利用できるチャンスは大いに利用してかまいません。

帰国生入試を実施している学校選びの手順とポイント

しかし、数撃てば当たるものではありませんし、最終的にお子さんが通うのは1校なのですから、無駄のないよう、かつ悔いのないように学校を選択したいものです。

●学力を客観的に測る
 最初にしなければならないのは、学力を客観的に測ることです。特に英語は、「できる」と言ってもどの程度なのか。英検など指標となるテストを受けているならその点はクリアです。逆に、帰国子女ではあるけれど、英語が受験レベルに達していないということもあるので、この場合はなんらかの対策が必要です。
 これにプラスして、他の教科の学力も知っておくことが必要です。理科や社会は遅れているのか、あるいは、現地校に加えて塾などに通って補強していたなら、現時点でレベルはどの程度かなどを知っておきます。
 さらに、国語(日本語)の学力も重要です。ほとんどの学校において、試験科目か作文のどちらかで日本語が必要だからです。日本語の感覚が確立する前に海外に渡った帰国子女の場合は十分な準備が必要となります。

●出願資格をチェックする
 次に、「海外在留期間」及び「帰国後の年数」を確認しておきます。受験候補校を絞り込む際、その学校の出願資格と照らし合わせ、適合しない場合は候補から外します。ただ、誤差がわずかである場合、融通がきく可能性もあるので、直接学校に確かめてみるとよいでしょう。

●試験科目数を確認する
 一般入試に先立って実施される帰国生入試では、1科から3科の筆記試験と、作文や面接が加わる学校が多く見られます。面接は保護者同伴のケースもあり、参考程度とする学校からきわめて重視する学校までさまざまです。また、一般入試と同時に行われる帰国生入試では2科・4科から選択できるところもあれば、4科必須のところもあります。

●中学に何を求めるか
 中学入学後、どんな対応をしてほしいのか、考えをまとめておきます。英語力を伸ばしたいのであれば、帰国生のみのクラスを設けているところ、あるいは英語の授業だけは帰国生のみで行っている学校をめざす選択もあります。英語力維持や、弱い科目の教科のためにどんな施策を行っているかも事前に知っておきたいものです。

以上のことを考慮して、受験対象となり得る学校をリストアップしてみましょう。あとは、試験の日程を考えながら絞り込んでいきます。候補校が多い場合には、リストを見渡し、候補校があまりにバラエティに富みすぎていないか振り返ります。共学校か否か、進学校か付属校か、で大まかな方向性を決めておくとよいでしょう。
 また、通学時間・通学経路に不安があるものは早めに候補からはずします。

腕試しにもなる帰国生入試情報は自分で集めて判断を

帰国生対象の試験は、一般入試より早い次期に実施されることが多く、自分のレベルを判断するのに役立つほか、腕試しや場慣れの機会にもなります。いずれにせよ、利用できる機会は利用するにこしたことはありません。ただし、第一志望校だけは明確に定め、そこに照準を当てた準備をしていくことが大切です。
 帰国生の受験を成功させるためには、できるだけ早くから準備すること、保護者と本人の意思を統一しておくこと、保護者間で役割分担を決めておくことが不可欠です。また、情報の見極めも大切です。ウワサや昔のイメージで学校を判断するのは危険。足を運び、直接、見聞きした情報をもとに判断するべきです。

条件が整わなければ高校進学時の帰国生入試も

帰国のタイミングが出願資格と合わないとか、学習面での準備が間に合わないなどといった場合、無理に中学進学に合わせて帰国せず、高校進学時に帰国生入試を受けると言う選択肢もあります。3年間あれば、英語に十分、磨きをかけておくことができますし、中学での入試より比較的容易に入れる学校もあるようです。しかし、ひとまず中学進学の段階で入試情報を集め、受験の準備を進めることは、高校入試を考える際にも無駄にはなりません。


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