

変わらぬ確かな教育理念を掲げつつ、時代をリードする新たな学びを導入し、常に進化・発展していく私学の教育。
それは、21世紀を担う子供たちの夢と、大きな可能性を育てるものです。
今回は、2008年度からインターナショナルコースを開設し、6カ年教育のさらなる充実に挑む横浜山手女子中学校のリポートです。
横浜山手女子中学校・高等学校では、創立100周年にあたる2008年、中高一貫インターナショナルコースを開設します。
インターナショナルコースでは、IB(インターナショナル・バカロレア)という、ヨーロッパで開発された国際的教育プログラムと日本の教育制度を融合させたプログラムに基づき、授業の大半を英語で行います。
このコースによって最終的にめざすのは、多文化を理解し、責任ある地球市民として活躍する若者の育成。もともと国際教育とIT教育に力を入れている同校だけに、神奈川県内ではどこよりも早い導入となったようです。
◆インターナショナルバカロレアに対応する質の高い教育をめざす
さて、このIBに基づくインターナショナルコースとはどういうものなのか、同コース開設準備室長である田口俊夫先生に教えていただきました。
「バカロレアと聞くと、フランスを思い浮かべるかもしれませんが、IBはそれとは全くの別物で、スイスのジュネーブに本部を置くIBO(国際バカロレア機構)という非営利教育団体が定めた世界水準の教育プログラムのこと。この教育プログラムを履修し、高3時に受ける世界統一試験で一定以上の成績をあげるとディプロマと呼ばれる海外の大学入学資格を取得できるのです」。
同校は、現在、その教育プログラムを提供する候補校であり、1〜2年後には認定校になる予定です。
「IBは、もともと国を越えて移動し、異なった教育制度のもとで学ぶ生徒のために設けられた共通のシステムです。3歳から12歳対象のPYP(Primary Years Programme)、11歳から16歳対象のMYP(Middle Years Programme)、高校2・3年対象のDP(Diploma Programme)があり、本校ではMYPとDPを導入します。もちろん、日本の学校教育法および学習指導要領を踏まえた横浜山手女子独自のカリキュラムですから、将来、国内・海外どちらの大学に進学するにしろ、不都合はありません」と田口先生。
英国ケンブリッジ大学をはじめ、世界の一流大学がIBの成績を入学許可条件にしていますが、それらの大学への進学ばかりが主眼ではないそう。
「IBプログラムのよいところは、“人”を含めた真のシステムだという点。生徒に課題を与える前に学習の目的や評価基準を伝えますから、客観的に自分を評価する能力が養われ、その結果、なにをすべきかわかる人間になるのです」。
◆社会、音楽、美術、体育も英語 生徒はバイリンガルになるべし
実際の授業がどのように行われるのか、現時点で発表できる部分について引き続き、田口先生にうかがいました。
「大半の授業は英語で行います。英語はもちろんですが、社会、音楽、総合的学習も英語での授業となり、美術や保健体育、技術家庭、道徳は英語と日本語の両方を使います。日本語での授業は、国語、数学、理科の3教科だけ。英語での授業には不安を感じるかもしれませんが、実技系の科目は“楽器”や“競技”が言語ですから、大丈夫。また、教員の出身国は日本、ニュージーランド、カナダ。全員がバイリンガルですから日本語でのサポートも可能です」。
音楽大学卒のネイティブ教員がいるほか、理科や社会の内容を含んだ英語のテキストを使用するなど、教員や教材に工夫することで、ムリなく英語に慣れていきます。英語に慣れた5年目(高校2年)からのDPでは、国語以外はほとんどが英語での授業です。
「インターナショナルコースの生徒たちにはバイリンガルになることを求めます。いまは話せなくても、英語への関心、英語で勉強することへの興味を持っていれば、私たちが全力でサポートします」とのことです。
同コースの生徒25人につき教員が7人。「個人」に焦点を当てるIBプログラムだからこそのきめ細やかさで、生徒が問題を感じ始めると同時にキャッチし、個別に話し合いをして、補習などの必要な措置を取っていくようです。
◆従来の中高一貫6年コースと交流 相乗効果で広い視野を育てる
ところで、中高一貫6年コースとの関係はどのようになっているのでしょう。教頭の野村宗人先生にうかがいました。
「両コースは同じフロアに教室があり、体育祭や学園祭、修学旅行などの学校行事も一緒に行います。また、いくつかの授業やテーマ研究は合同で行うことも検討中で、交流の機会を多く持つようにします。互いに刺激しながら、視野を広げていければ理想的ですね」と、両コースが融合しながら成長していく方針であると語ってくださいました。
ところで、コースの途中変更が可能であるかどうかを尋ねると、「本人の希望などでインターナショナルコースから中高一貫6年コースへ変更することができます。ただし、MYPが終わる高1終了時が最適でしょう。中高一貫6年コースは6年間を2年ずつ3つのSTEPに分けており、STEP2からSTEP3へ移る時期とも重なりますから」とのことでした。
◆キャリアデザイン教育の早期開始で 向学心を高め方向性をスムーズに
同校のキャリアデザインについても野村教頭にうかがいました。
「本校での6年間と大学生活4年間を過ごしたあと、つまり中学入学から10〜15年後を見据えて、“Practical Woman”を女性像づくりのテーマとしています。自己表現力が高く、より実戦的な女性ということになるでしょうか。たとえば、職場や家庭で、『誰かこれを頼む』ではなく、『○○さんにこれをお願いしたい』と言われるような、頼れる存在になってほしいですね」。
その実現のために、同校では、“コミュニケーション重視の国際教育・情報教育”と名付けて、自己表現力とプレゼンテーション力の向上に力を入れているそうです。毎年7月には、レシテーションコンテスト(暗唱・朗読コンテスト)を開催。また、1年生ではパワーポイントを使った「横浜山手研究」のプレゼンテーション、2年生では国内語学研修、3年生では「各自のホームページ作成、海外語学研修(希望者対象)を実施します。また、4年生(高1)になるとhtmlの学習と、ステップアップしていきます。
他にも、PA(Project Adventure=1年生)とOBS(Outward bound school=4年生)を連携させての実施、企業実習(3年生)、福祉教育(1〜3年生)、留学生ホームステイの受け入れなど、多彩なメニューをシステマティックに実施しています。」
早い段階で職業への関心と知識を高めることで、向学心の高揚および専門分野の方向性がよりスムーズに具体的になるようです。