

◆ドイツ海外研修に込められた建学の精神
中等教育学校の前期課程を終えた3月中旬、いよいよ「ドイツ海外研修」がスタートしました。
中学3年生が全員参加で行われる12日間のプログラムは、1)平和学習 2)語学研修 3)ホームステイ経験 の3つの柱に支えられています。
ドイツという地を選ばれた理由を豊岡校長先生は次のように語られます。「それは、奉仕の精神と敬愛・誠実・自主といった建学の精神に基づき、奉仕を身につけるための平和学習という意味があるからです。この精神性は、どんなに時間が変わっても、国が変わっても、持ち続けてほしい心です。複雑な歴史的背景を持つドイツで異文化や人間性に触れながらこの精神を見つめ直してほしいと思っています。」
世界の問題や紛争を解決し、未来を創っていく人材に求められるのは、Technology(技術)、Talent(才能)、Tolerance(寛容)という3Tだと示唆するリチャード・フロリダという人物がいます。
横浜富士見丘学園の奉仕や敬愛の精神は寛容な心。そして自主はタレントへとつながり、高い教養や語学力は技術へと発展する大切なベースとなりえます。
建学の精神に基づいたドイツ海外研修は、世界と向き合う女性へと成長していく第一歩なのです。
◆偶然の出会いが育んだ交流
前半はホームステイをしながらの語学研修。後半は国会議事堂、ベルリンの壁、ザクセンハウゼン強制収容所などを訪れ、平和について学ぶ旅程の中で、かけがえのない出会いの場がありました。
Goethe−gymnasium Kassel高校から、ぜひ研修期間に学校を訪れてほしいという申し出があり、旅程を変更して訪問したのです。
現地の生徒に交じって参加した体験授業はドイツ語ではなく、共通語となる英語で行われました。ところが、授業というよりほとんどの授業がコミュニケーションタイムに大変身。ドイツの学生から次々と質問されたそうです。
この素晴らしい出会いの橋渡しをされた日本語クラブの木戸先生と生徒たちが熱心にサポートし、グリム童話博物館の見学にも同行。現地の同世代の学生との対話はとても貴重な体験となったようです。
◆過去から学び、未来へつなげる
ドイツ海外研修に参加した生徒のしおりには現地での様々な体験がつづられています。中でも、収容所見学はあらゆる意味で印象に残ったようです。
「私はホームステイなどを通して文化・言語・習慣などの違いにたくさん気づかされました。違うことは悪いことではありません。しかし、収容所ではその違いの良さに気づけなかっただけではなく、違うことが悪いことのようにとらえられ、迫害につながったのだと思います。違いを互いに理解して、受け入れることのできる広い心を育てていくべきだと思いました。」
「人が人を迫害し殺してしまう。その行動へのスタートは偏見や差別で、今現在の日本人も持ちかねない歪んだ考えの延長線上、エスカレートしすぎた結果なのではないかと思いました。(中略)過去を隠さず、教訓にしようとする姿勢は素晴らしいと思いました。」
一年をかけて事前指導をされた鈴木秀司先生は「教科書で学ぶだけでなく、実際に足を踏み入れて体感する学びはとても大切です。収容所はあらゆる意味でショッキングな体験だったと思います。次のステージでは、校訓の敬愛や希望者で行うアメリカ研修にどのようにつなげていくかを私たち教師は考えています」と語られます。
貴重な体験を終えた帰国後の生徒たちには、見違えるほどの成長が見られるのではないでしょうか。