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「考える」こと楽しんでますか?〜Post−SELHiから生まれる好奇心〜(横浜国際女学院翠陵中学校)

2008年6月17日

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 横浜国際女学院翠陵は05年度からの3年間、文部科学省より英語教育研究開発校「SELHi(Super English Language High School)」として指定され、他指定校の見学や学内での教材・指導法の研究を重ね、先進的な独自の英語教育の開発に挑戦してきました。

 07年度末で公の認定期間は終了しましたが、研究成果の検証とさらなる開発を継続するため、08年度から新たに「Post−SELHi」という独自の活動を発足しました。SELHiで開発してきた英語教育の方法論を、翠陵が目指す『考えることのできる女性』の育成に具体的につなげるための試みがはじまっています。

 ◆英語でものごとを組み立てる

 Post−SELHi では、「英語を覚える」「日本語に翻訳する」のではなく「英語で考える」ことが重要な学習ポイント。そのために「マッピング」という手法を活用します。

 英文の内容理解に重点を置くReadingでは、文章の核となるキーワードをいくつか抜き出して図式化し、言葉同士がどういう関係にあるのかを把握することで文章全体の内容や主張を理解します。文章を一文ずつ理解するのではなく、キーワードから自分の力で文章を再構築することで、要点を捉える思考力や、新しい文章に出会った時にキーワードをつかむ視点が養われていきます。

 Writingも、主眼は自分の主張をきちんと組み立てること。同じく「マッピング」を行いますが、ここではひとつのキーワードから思いつく言葉をどんどんつなげ、思考を広げる方法をとります。自分の知識や考えをいったん拡散させ、その後整理することで、自らの主張の輪郭をつくるのです。

 もちろん構文や文法などの基礎的な理解は不可欠。文法の授業では、Readingの素材文で出てきた文章を例にとって構文を学ぶなど、細かな工夫と仕掛けによって、それぞれの授業が目に見える形でリンクして生徒たちの体系的な理解を促します。  

 ◆気づく力、つなぐ力、それが「考える力」

 Post−SELHi主任の朝野先生は、「将来語学が必要な仕事に就きたい、といった『学ぶ目的』を見つけることも大切ですが、私たちは『学ぶこと自体の楽しさ』を生徒に感じてほしいのです。そのためには、ものごとのつながりや多様な見方に気づけるような授業が大切。自分でものごとのつながりを発見した瞬間の喜びを積み重ねることで、生徒たちの好奇心に火をつけ、自ら学び、考える意欲につなげていきたい」と話されます。

 そのために、英語だけでなく他教科も巻き込んで実施しているのが『コラボレーション授業』。カリキュラムを調整し、社会・理科・国語等の他教科と、英語とで同時期に同じ素材を扱います。時には他教科の先生が飛び入りで授業を行うこともあります。同じものごとでも教科が違えば切り口が異なる、そこに気づくのが、好奇心の芽生えの第一歩。どんなコラボレーションが可能か、先生方は教科を越えてこまめに情報交換を行っています。「自分の頭で考えることができて初めて英語がツールとして活きてくるのです」と杉田教頭先生が話されるように、翠陵の英語は「考える力」をどう育成するかがプログラムデザインのベースになっています。日々の取り組みの一つひとつをどう『考えることのできる女性』につなげるか、先生方の熱意と創意工夫が、生徒たちの考える力と好奇心を培っています。

 ◆枠組みを創りかえる先生たち

 同校の隠れた特色は、コラボレーション授業のように教科を越えて教員同士が連携することで生徒の学びを促進する活動がきめ細かに実施されていることです。例えば、英語ルームの使いかた。Post−SELHiの一環として設置された英語ルームですが、単に英語に慣れ親しむ場としてだけではなく、英語を使ってさまざまな学びにつなげる場として活用されています。

 その方法は実にシンプル。所蔵されている英語の本のジャンルや難易度などのリストを全ての先生に配布するのです。受け取った先生方は、そのリストをもとに蔵書の中で自分の教科と関連づけられそうなものを選び、授業内で紹介をしたりしています。そんなシンプルなことですが、先生それぞれに「自分の教科や今やっている学習内容にもっと興味を持ってもらうにはどうしたら良いか?」「今この生徒たちに、どんな本が適しているだろうか?」と考える姿勢がなければ、このような実践にはつながりません。

 目先の学習進度ではなく、学ぶことの楽しさ、ものごとのつながりを発見する視点ということを、全ての先生が大局的に考えているからこそ、生まれてくる取り組みと言えます。このように他教科の内容にまで先生方が精通し協働できるようになるには、職員室での先生同士の対話が重要なファクターとなります。翠陵の職員室では、常に教科内はもちろんあらゆる教科の先生同士の対話が存在します。単なる情報交換ではなく、「こうしたらどう?」という創造的なアイディアが飛び交う、先生方自身もワクワクするような対話が、翠陵の学びを支えるエンジンとなっているのです。

 一人ひとりの先生が「自分の教科」や「自分のクラス」という意識をしっかりと持ちながらも、「より生徒のためになる」取り組みを考え、話し合うことができるコミュニケーションが、よりよい学びを生徒に提供するための議論を生み、互いを巻き込んでの革新的な実践へとつながっていきます。

 このオープンな雰囲気は、自然と学校全体を包み込み、生徒たちにもそのまま影響します。日々の授業では生徒たちからの質問が絶えることがありません。恥ずかしがることなく、わからなかったこと、聞き取れなかったこと、詳しく知りたいこと、聞きたいことなど、翠陵の生徒たちはよく手をあげて質問をするそう。そしてそのような生徒との対話が、また先生方同士の話題につながり、授業に活かされていくのです。

 Post−SELHiも、先生方のオープンなコミュニケーションの賜物。「考える力」は、先生も生徒も違いなく日々互いの関係の中で育まれているのです。

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