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2011年11月4日17時26分
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高松で感じた受験教育への怒り・悩み……尾木ママに聞く

写真:笑顔で高校生活を振り返り、教育問題を論じる尾木直樹さん=高松市屋島西町拡大笑顔で高校生活を振り返り、教育問題を論じる尾木直樹さん=高松市屋島西町

 「尾木ママ」として知られる教育評論家の尾木直樹さん(64)は、高校3年間を高松市で過ごした。10月中旬に市内で講演した際、高校時代の思い出や教育問題全般についてインタビューに答えた。人なつっこい笑顔を見せながら、明快に持論を展開した。

 ――高校時代に思い出深いことは

 栗林公園でデートしたり、熱心な先生に本をもらったりした楽しい思い出もありますが、受験教育のゆがみを経験したのが一番強烈でした。当時、香川県は学力テストや受験指導が盛んで、その影響が高校生活にもありました。

 成績の良い同級生が病気で定期試験を受けられないと知った別の生徒が「成績が上がる」と本気で喜んでいたことに、強い怒りを感じました。競争がゆがめた人格を目のあたりにしました。その時に「おかしい」と感じたことが、教師や今の仕事を選ぶことにつながりました。この経験がなければ「尾木ママ」は誕生していなかったかも。

 ――県内の教育問題について。2009年度の学校での暴力行為件数は全国ワースト1位です

 管理的で抑圧的な学校は、暴力行為が多くなる傾向があります。子どもと信頼関係をつくり、子どもが主役になれるような学校づくりが必要です。

 ――「新しい歴史教科書をつくる会」系の歴史と公民の教科書が県立中で初めて採択されました

 歴史認識で問題があるとされ、批判が強い教科書を授業で使うとすれば、複数の教科書と比較し、子どもたちに議論して判断してもらいたい。そうすることなくして、この教科書を採択して内容を教えようとするのならば、いかがなものかと思いますね。

 ――発言が注目され続けていますが

 常に現場目線を心がけているからだと思います。岩手県石巻市での講演は、小中学生に被災地から何を訴えたいのかアンケートしました。実態に寄り添い、関係者の声を聞く臨床的な手法で、現場からずれないようにしています。

 ――悩むことは

 まず教師を辞めた後、収入がなかったこと。1年目は86万円でした。

 その次が、小泉内閣や安倍内閣で教育への政治の介入が進んだ時です。教育に競争原理を持ち込む学区の撤廃が各地で進みました。2006年には教育基本法改正。「目が黒いうちに、子どもたちを巻き込む戦争が起きるようなことはストップしたい」と反対しました。テレビ番組の出演が突然キャンセルされることも相次ぎました。衆院特別委で参考意見を述べ、国会で会見もしましたが、自分の声が国民に届かなかった。「ポピュリズム」に対しどうしたらいいのかと悩み、限界も感じました。

 ――「ママ」と呼ばれることについて

 全国各地で講演していますが、「ママ」と呼ばれる前の自分を知る人は1割もいません。堅いテレビ番組でどれだけ発言してもダメ。家族だんらんしながら見るバラエティ番組の中で、ほんの10秒でも、ちょこっと教育の本質を言いたい。これまで声が届かなかった人に伝えていきたい、と強く思います。(聞き手・吉田海将)

    ◇

 おぎ・なおき 1947年、滋賀県生まれ。高松第一高出身。中・高で22年間教師を勤め、教育評論家に。テレビ番組で柔らかな話し方を「ママみたい」と言われたのを機に「尾木ママ」の愛称がついた。法政大キャリアデザイン学部教授。6日午後1時半、「変われるか?日本の教育」のテーマで高松市の香川大幸町キャンパスで講演する。

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