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対人関係学ぼう 教育現場で広がる

2010年10月25日14時21分

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写真:1年生から6年生まで、車座になってゲームをする「ふれあいタイム」。この日は「面白い話」「怖い話」などを出し合い、盛り上がった=高松市立木太北部小学校拡大1年生から6年生まで、車座になってゲームをする「ふれあいタイム」。この日は「面白い話」「怖い話」などを出し合い、盛り上がった=高松市立木太北部小学校

写真:「スリッパをちゃんと並べていいね」「草抜きをしてくれてありがとう」などお互いをほめ合う「ふわふわ言葉」が教室に張り出されている=香川県丸亀市立城坤小学校拡大「スリッパをちゃんと並べていいね」「草抜きをしてくれてありがとう」などお互いをほめ合う「ふわふわ言葉」が教室に張り出されている=香川県丸亀市立城坤小学校

 学年の違う子同士の交流や相手の気持ちに寄り添った言葉がけなどを通して、子どもたちの対人関係スキルを育てる試みが教育現場で広がっている。きょうだいが少なく、核家族で育つケースが増え、集団での外遊びも見かけなくなった。今や対人スキルは自然に身につくのではなく、学ぶものになったともいわれる。暴言や暴力を減らす効果も期待されている。

■学年超えて交流 高松市立木太北部小

 広い廊下に、1年生から6年生の児童各2、3人が集まり、車座になって座る。厚紙で作ったサイコロを振り、出た目の数によって「動物の話」「食べ物の話」など、ジャンルに合う話を披露し合う。

 6年生の女子がサイコロを振って「6」を出した。「6は、面白い話……かあ。1年生にもわかる話っていうと、アンパンマンとか?」。隣に座る1年生と目を合わせて、考え込んだ。

 高松市立木太北部(きたほくぶ)小学校は毎週火曜日の始業前、15分間の「ふれあいタイム」を設け、学年を超えた縦割り班で過ごす。

 20年前に開校した新しい学校。校区にはマンションが立ち並び、児童の転出入も多い。池田保校長は「子どもたちは明るく素直だが、思いを相手に上手に伝えられず、困ったり迷ったりする姿がみられた」という。

 異学年交流を増やし、5、6年生が自主的に活動内容を考えるようにしてから、変化が表れてきた。たとえば長縄跳び。低学年の子がうまく入れるように、高学年の子が気遣う姿が増えた。休み時間になると、1年生が6年生の教室に遊びに来ることも珍しくなくなった。

 池田校長は、6年生からこんな話を聞いた。「同級生に『そんな遊びはいやだ』と言われると腹が立つ。けど、下級生に言われると『どうしたらいいかな』とちゃんと考えるようになった」

 口に出す前に、まずはじっくり考え、自分の言葉で表現する。そんな子どもたちの変化は、木太北部小が力を入れてきた道徳の授業でも表れている。

 10月、5年生は「命の大切さ」を学んだ。中原悦子教諭が「たった一つの命だから、どうする?」と聞くと、男子が言った。「友達に『死ね』とか、言わない。今すぐは難しいかもわからんけど、だんだん、優しい言葉に変えていきたいです」

 香川県教委は昨年度から「問題行動防止プログラム」づくりに取り組んでいる。木太北部小の実践もその一つだ。

 きっかけは2007年度の文部科学省の調査で、子どもの暴力行為の発生頻度が1千人あたり10.1件と、全国ワースト1になったことだ。学力調査に伴うアンケートでも、香川の子どもは「人が困っているときは、進んで助けていますか」「人の気持ちがわかる人間になりたいと思いますか」などの項目で、「はい」と答えた子が全国平均より少なかった。

 プログラムをつくった香川大学教育実践総合センターの七條正典センター長は「対人関係が結べない、コミュニケーションがとれない子が増え、暴力や暴言につながっている」と指摘する。問題解決のため、「教師の子ども理解」「子どもの生活集団づくり」など16項目に分けて各校に自己診断をしてもらい、二つのモデル校を選び、子どもたちの自尊感情や対人関係スキルを向上させる実践を始めた。

■温かい言葉 書き出す 丸亀市立城坤小

 もう一つのモデル校、丸亀市立城坤(じょうこん)小学校が力を入れるのは学級会や児童会の活性化。成果の一つが「ふわふわ言葉」だ。

 5月、あるクラスで、子どもたちの間から「うちの学校には他人を傷つけるトゲトゲ言葉を言う子が多い」という意見が上がった。城坤小は荒れた学校ではないが、昨年度の子どもたちへのアンケートでも「自分がきらい」「ややきらい」との答えが予想外に多かったという。自尊感情が低い子どもは他人を傷つける言動をしがちとされる。

 クラス代表らが集う会議で、「トゲトゲ言葉をなくすには、気持ちよくなる言葉を増やしたらいいんじゃない?」という提案が出た。それが「ふわふわ言葉」だ。6月に児童会が呼びかけて、がんばったこと、よかったこと、友達にありがとうと言いたいことを、各クラスが紙に書き出して壁に張った。葉っぱの形の紙に書いて張り、「心の木」と名づけた教室もあった。

 生徒指導担当の岩井俊明教諭は「温かい言葉が飛び交うようになり、学校や学級会が楽しい、という子が増えてきた」と話す。

■互いにほめ合う 跡見学園中

 跡見学園中学校(東京都文京区)も対人スキルを上げるワークショップに取り組んでいる。4月、3年生268人を対象にしたこんな実践があった。

 まず6人ずつのグループに分かれ、声を出さずに身ぶり手ぶりで表現した動物を当てっこする。表情や動作などで相手に思いを伝えたり、気持ちを読み取ったりする力を鍛えるのだ。

 次に2人1組になり、「上手な聞き方」のワーク。「相手を見て、一生懸命、うなずきながら、笑顔で、おしまいまで」の5項目を意識して話を聞く。「ほめ言葉シャワー」のワークでは「相手に近づき、相手をきちんと見て、聞こえる声で、笑顔で、その人の様子を具体的にほめる」を実践した。

 教師や保護者を対象に同様のワークをしたところ、参加者が感極まって泣き出したこともあった。ワークショップで進行役を務めた東京学芸大教職大学院非常勤講師の早川恵子さん(54)は、「『認め合う』という関係は、子どもだけでなく世の中全体でやせ細っているように思う。心地よく過ごすための手段の一つとして、対人スキルのワークを活用したい」と話す。(阿久沢悦子)

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