現在位置:asahi.com>教育>小中学校>花まる先生公開授業> 記事 今日は「○」いくつ? 愛知県豊田市立畝部小学校 落合康子さん2007年05月21日 授業が始まるとすぐ、落合先生は厚紙で作ったウサギの帽子をかぶった。するとコンビの深谷由佳先生(27)がリスの帽子で登場。2年3組がどっと沸いた。
複数の先生で授業を進めるチームティーチングという方式だ。 2人が厚紙の魚を掲げる。「魚釣り競争だ。僕の魚はこぶし三つ分の大きさだよ」と落合ウサギ。深谷リスは「こっちはこぶし四つ分。僕の勝ちだね」。 すると子どもたちから次々と声が上がった。 「リスの方が手が小さいよ」 落合先生「なるほど、リスさんの方が手が小さいんだね」。 「こぶしじゃなくて、違うやつで比べればいい。同じ形のやつ。例えばこの魚は黒板消し二つ半」 落合先生「すごいこと言ったね。こぶしとは違う物で比べるんだ。みんなも比べてみようか」。 子どもの発言を、落合先生が引き取って繰り返す。正解でも、間違っていても復唱する。一人ひとりの断片的な「気づき」を、教室全体に増幅させる手法だ。 「間違いでも学びの種になります。教師の聞く力が求められますし、教師が本気で聞く姿勢が、子どもの聞く力につながります」 2匹の魚をそのままの比率で縮小したプリントが配られた。子どもたちは教材のブロックで、何個分なのかを調べ始める。 落合先生は大忙し。子どもの席を回って答えに○をつけていく。 「4こ、と半分だねぇ。よくわかったね」「4こ半、いい書き方だねぇ」。盛んに声をかける。「4こ分」と正解より短く書いた子にも、途中まで測れたねと○をつけ、「あとちょっとあるね」とヒントを出す。教室をもう一回りして、2回目のチェックでは「4こ半」の正解。大きな○をつけた。 落合先生が「○つけ」を軸にした授業に出合ったのは10年ほど前。愛知教育大の志水廣教授の指導を受けながら教師仲間と研究を続けた。子どもを飽きさせないためには、スピードや声のかけ方など、技が必要なのだ。 「○をつけるために子どもの間を回っていると、分からなくて固まっている子、間違いに気づかずにいる子も見えてきます。その日その日、子どもの小さな進歩を見逃さないことにも役立つんです」 全員に○が付いたころ、深谷先生が「物差し博士」に扮して登場。「1cm(センチメートル)」という言葉を説明して、みんなに紙の物差しをプレゼントした。cmの書き方を練習した後、手元のプリントの魚を測ってみる。「目盛り9こ分、9cm」と書ければ正解だ。 再び先生が席の間を猛スピードで回り始める。「そうそう」「目盛り9こ分までは書けてる」「数字を大きく書くともっといいよ」。声かけも忘れない。 まとめは、プリントの裏の最後にある算数日記コーナー。どうすれば長さを測れるか、ウサギさんとリスさんへ手紙を書く。落合先生はまた、席の間を飛び回って○をつけていく。「物差しを使うんだね」「そうだね、OKだよ」 授業が終わった。表も裏も赤ペンの○で真っ赤になったプリントを手に、どの子も満足そうだ。 「あーっ、今日の算数も楽しかったぁ」。最後列の男の子が、伸びをしながら笑った。 花まる先生 バックナンバー
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