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花まる先生公開授業

音読が生む一体感 富山市立山室中部小学校・中井隆司さん

2007年07月30日

 「中国の北の方、モンゴルには、広い草原が広がっています。そこにすむ人たちは、昔から、ひつじや牛や馬などをかって……」

写真授業に音楽を取り入れ、音読に力を入れる中井先生=富山市で、飯塚悟撮影

 全員に配ったプリントを中井先生が読み始める。子どもたちが続く。2年生の国語。リズムに合わせて、短い文節ごとに言葉を重ねていく。

 「スーホの白い馬」。2学期の単元の先取り授業だ。列や班ごとに立ったり座ったりしながら音読する。

 先生が突然、プリントと違う言葉に換えて読み上げた。

 「それには、こんな話があるのです」。「それには、あんな話があるのです」。「それには、そんな話があるのです」

 子どもたちは聞いたままを繰り返す。集中して聞いていないとついて行けない。

 「馬」という漢字は習っていないが、気が付くと、すでにみんな「ウマ」と読んでいる。

 「言葉を学ぶのに、耳からの学習は重要です。漢字を一つずつ覚えなくても、徐々に理解できるようになれます。何より、全員で音読することで教室内に一体感が生まれます」

    *

 音読が15分ほど続いた後、先生がオルガンを弾き始めた。卒業式などで人気の「ビリーブ」の前奏。唐突だが、子どもたちはうれしそうに立ち上がった。まるで歌を待ちかまえていたようだ。

 「たとえば君が傷ついて くじけそうになった時は かならず僕がそばにいて……」

 元気いっぱいに歌う。教室に笑顔があふれる。「大きく口を開けて」「きれいな声で歌えたと思った人はしゃがんで」。数曲歌うと“音楽の授業”は終了。あっという間に国語に戻る。

 「これを出してください」

 今度は教科書を手にする中井先生。子どもたちも、いそいで机の中から取り出す。

 「ここまで読みます。全員起立」。教科書の音読が始まった。次々とページを進めながら、かなりのスピードで読む。

 「10年ほど前に学級崩壊を経験し、担任の責任を痛感しました。楽しさが共有できる音楽、全員で取り組める音読が、子どもたちのまとまりを強くしています」

    *

 次々に内容が変わっていく授業は緊張感がある。教科書を閉じると、再び「スーホの白い馬」の音読に戻った。

 先生が黒板に書き出し、子どもたちがそれを読んでいく。

 「ここまではだいぶ覚えましたね。では、これで読んでみましょう」。先生が、文章の下半分を板で隠して読ませる。

 隠す位置を替えて「もう1回」。さらにずらして……。繰り返すうちに、いつの間にか全体を暗記していく仕掛けだ。

 「学習には集中力と適度な緊張感が必要です。音読によって言葉の感覚や漢字についての知識を身につけ、基礎学力を定着させられると考えています」と中井先生。

 残り5分。1年生のころから取り組んでいる百人一首の対戦が始まる。4人1組のリーグ戦。成績でメンバーの入れ替えがあるだけに、みな必死だ。先生が上の句を読むと、声を出さずに下の句を取っていく。すべて覚えた「名人」も生まれている。

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