現在位置:asahi.com>教育>小中学校>花まる先生公開授業> 記事 飛ばし読みのススメ 東進ハイスクール・荻野文子さん2007年08月20日 「マドンナ古文」で知られる荻野先生。歯切れのいい口調、明快な説明、整理された板書でツボを押さえる。大学受験界トップ講師の一人としての地位を20年近く守ってきた実力は、折り紙付きだ。
一条摂政とは東三条殿の兄におはします。御かたちよりはじめ、心用(こころもち)ひなどめでたく……。 「『心用ひなどめでたく』の『めでたく』に色線つけましょう」。「宇治拾遺物語」の一節を題材に、古文の読み方を説く。 「色線を引いた重要単語を拾って訳す、分からない所は飛ばして読む、というやり方をマスターして」。飛ばし読みのススメだ。 教室には普段、講師がいない。生徒は個別のブースで講義のDVDを見ながら勉強する。部活動などで忙しい高校生が、自分のペースで通えるように、数年前からこのやり方が主流になったという。 この日は年に数回、人気講師が全国各地を回る特別授業。「いつも画面の向こうにいる先生のナマの授業を受けたい」という受講生や一般高校生ら75人が参加した。 * すこし軽々におぼえさせたまひければ、御名をかくさせたまひて、大蔵の丞豊蔭(ぜうとよかげ)となのりて、……。 古文では主語がたびたび省略される。物語が進むにつれ、誰のことが書いてあるのかわからなくなる。そこで、接続助詞の「て」に注目する。 「『かくさせたまひて』の『て』にマルしましょう」 「て」や「で」でつながれた文は、主語が同じ。だから、主語が分からなくてもあわてず、「て」の前後の文を見て、わかっている情報を手がかりに探せばいい。「『て』で文がたくさんつながっていれば、それだけヒントが多いということ」 大事なのは自力で読む力をつけること。学校では先生が全訳してくれるけれど、入学試験では初めて見た文章を読まなければいけない。荻野先生が教えるのは、重要単語に気をつけたり、主語を補ったりしながら自力で読む方法だ。 「今日の設問は解けても解けなくてもどうでもいい。文章が変わっても通用するやり方を勉強しないと」。こう何度も強調した。 * 大教室やDVDでの一方的な授業で、どうすれば生徒を90分間引き付けられるのか。先生は「教える順番がすべて」だという。 「できなかったことができたでしょ」と安心を7割与える。一方で、「まだできない」を提示して3割の不安を与え、その好奇心で次の課題へと引っ張る。それを繰り返しながら、生徒に一つひとつ古文の階段を上らせる。 最初は単語力だけで何行か読める(安心)。主語が省略されているので、だんだん読めなくなる(不安)。主語を考えさせると再び読める(安心)……といった具合。 「順番を組み立てて、それに合ったテキストを選んだら、あとは教壇で演じるだけ」 それでも古文がしんどい生徒はどう引き付けるか。 先生は授業の途中、平安時代の恋愛の話題を取り上げた。「生徒の好奇心を入り口に古文の世界へと引き込む。すると、古文が嫌いな子も『おもしろいかもしれない』と聴くんです」 花まる先生 バックナンバー
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