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花まる先生公開授業

別の解き方、教えます 碇塾・碇優さん

2007年09月10日

 10%と5%の食塩水、それぞれ何グラム混ぜれば7%の食塩水200グラムになるか――。高校入試の数学の定番、食塩水の濃度の問題だ。

写真

「数学は発想が大切。先生よりうまい解き方を考えて」と語りかける碇優先生(中央)=栃木県足利市で

図

食塩水と濃度の関係

 「これって、二つの食塩水の濃度の釣り合いがとれて、全体が7%になるんだね。釣り合いがとれる道具といえば何だろう」

 碇塾足利教室(栃木県足利市)の夏期講習。碇先生の問いかけに、中3の生徒たちは口々に「てんびん」と答えた。

 濃度とてんびん。一見ミスマッチだが、発想を変えることで計算時間を短縮できる裏技になる。

 先生はホワイトボードにてんびんを書いた=図。横棒は食塩の濃度(%)の数直線、おもりは食塩水の重さ(グラム)に見立てる。「てんびんが釣り合うのは、中心からの距離と、重さを掛けた数が、左右でイコールの時だね」

 10%の食塩水の量をXとして方程式をつくる。

  3X=2(200―X)

 通常使う、食塩の量をもとにした方程式=図=に比べ、分数を使わない分、計算は簡単だ。

 「学校の授業ではこの方法を使っちゃだめだよ。でも、入試の時は時間を短縮できるぞ」

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 35年前に開いた塾には、太田教室(群馬県太田市)と合わせ、小学生から高校生まで約85人が通う。数学、英語を中心に、国語、理科、社会、パソコンまである授業を、非常勤を含め5人の講師で分担する。算数・数学はすべて、塾長の碇先生の受け持ちだ。

 遅れがちな子には休日に補習をしたり、日付が変わるまで勉強に付き合ったりするなど、生徒一人ひとりに寄り添った指導をしてきた。親子2代の塾生も多いという。

 「塾と言えば大手進学塾のイメージだが、数でいえば大部分が小さな個人塾。子どもたちの学びを支えてきたという自負がある」

 生徒からは「一つの問題で少なくとも二つの解き方を教えてくれる」「学校では式、式、式だけど、図で説明してくれるからわかりやすい」と好評だ。

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 授業には「合言葉」がたくさん出てくる。問題の解き方の要点を簡潔に表現した、先生の自作の言葉だ。

 生徒が間違いやすい+や÷が混じった式の合言葉は「足す引くプッツン」。+と−で式をプツンと区切って、かけ算と割り算を先に計算しなさい、という意味。数学が苦手な子ほど、合言葉に助けられる。1次方程式や多角形の角度を求める時の合言葉もある。

 そんな碇先生の技術を学ぼうと、ほかの塾の若手講師が毎月、教えを請いに集まる。「数学はコーチがよければ必ずできるようになる」という先生。塾の垣根を越え、いいコーチが育って、数学の得意な子が増えることを願っている。

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