現在位置:asahi.com>教育>小中学校>花まる先生公開授業> 記事

花まる先生公開授業

教材は身近な生き物 北海道千歳市立駒里小中学校・青野裕幸さん

2007年09月17日

 机の上に頭蓋骨(ずがいこつ)が二つ。「どっちが豚で、どっちがイノシシでしょう」

写真

5人だけの2年生は授業も部活動も一緒。和気あいあいとした雰囲気で授業を進める青野先生=北海道千歳市で、葛谷晋吾撮影

 青野先生を囲んでコの字形に座る生徒は5人だけ。コーン畑や牧場が広がる郊外の学校、中学2年生はこれですべてで、小中を合わせても23人しかいない。

 のぞき込むように見ていた1人が声を上げた。「こっちがイノシシ。だって牙があるから」

 先生はニンマリしながら、骨をあごのところでパカッと開いて、歯に注目させた。

 「こっちのイノシシは歯がそろっているけど、豚は生えかけの永久歯が奥に隠れているね。これから生える歯があるってことはこの豚は何?」

 「子豚っ」。別の生徒がすぐに答えた。

 子豚なのに骨の大きさはイノシシと変わらず、生後半年ほどで食肉になることが多い。豚はイノシシを改良して作り出したもの。「早く大きく育つ方が人間にとって都合がいい。骨を見ると人間と家畜のかかわりを想像することができます」

    ◇

 この日は動物を学ぶ単元の最後の時間。人が生活のために動物を変化させてきたことを学ぶのが主眼だ。

 「人間はほかの動物を食べないと生きていけない。まず、自分たちの周りにどんな家畜がいるか考えてみよう」

 すかさず「うちにいるよ」と男子生徒。5人のうち3人は牛や鶏を飼う農家。牛、羊、豚、イノシシ……みんな身近な存在だ。

 「こないだ持ってきてくれたバロット(フィリピンの料理)って何の卵で作るの?」。フィリピン出身の2人に話題を振った。生徒の母親が5人全員に振る舞ってくれた料理だ。

 「ダック(アヒル)」

 「じゃあ、フィリピンではアヒルも飼ってるはずだね」。たった5人だけの授業、話題には全員が参加できるよう気を使う。

 続いて、絵や骨格の写真を使って豚とイノシシを比べる。豚の方が肉がたくさんとれる体形だということ、長い間交配を重ねて、今の姿に改良してきたことなどを説明する。頭蓋骨を手にとれば、その違いを実感できる。

 さらに牛や鶏、犬などの写真を「食用」「ペット」などに分類しながら、豚と同様に人が手を加えてきたことを付け加えた。

    ◇

 青野先生は教材作りが得意だ。頭蓋骨は養豚業者から買って手づくりの標本にした。鶏の手羽先を解剖させて骨と筋肉の働きを学んだり、家庭にあるフルーツの種や豆を使って種子の学習をしたりすることもある。みな立派な教材になる。理科室は、スズメバチの巣や馬の骨の標本などでいっぱい。先生が集めたり作ったりしたものだ。「イラストや写真でなく実物を使うと、生徒の反応や学習の定着度も全然違う。身近なものを取り上げて、理科の学習が生活とかけ離れていないことを実感させたい」

 実は、先生はこの授業にシマヘビの死骸を持ってきていた。「今朝、5年生にもらったんです。ヘビはこの前ちょうど勉強した爬虫(はちゅう)類だね。これがウロコ」

 また一つ、理科室に標本が増えそうだ。

このページのトップに戻る