現在位置:asahi.com>教育>小中学校>花まる先生公開授業> 記事 いいウンチをしよう 神奈川県三浦市立旭小学校・及川比呂子さん2007年10月01日 4時間目のチャイムが鳴った。及川先生が3年1組の教室に入ると、このクラスの担任、小山仁子先生(49)が隅の机で、頭を抱えてつっぷしている。
「先生どうしたんですか? 運動会の練習で疲れたのかしら?」 いつもは保健室にいる養護教諭の及川先生の声に、ざわざわしていた教室が静かになった。 「風邪じゃない?」と男の子がのぞきこむ。 「おなか痛いの?」 「病気ではないと思うんだけど……」と、小山先生は頭を抱えたまま答えた。迫真?の演技。 そこで、及川先生が教壇に立った。 「ねえ、みんな。病気じゃなくても、ぐったりしちゃうことってあるのかなあ?」 ◇ 「保健」の授業は3、4年生が年4時間、5、6年生が8時間しかない。「養護教諭は担任と違って、クラスに飛び込んで単発の授業をしなければなりません。それだけに、教室に入った瞬間から教室の空気をがっちりとつかむ仕掛けが大切です」 この日は「毎日の生活とけんこう」の単元。早寝早起きをしようとか、好き嫌いをしないとか、子どもが聞き飽きていることばかりを繰り返しがちな内容だ。ところが及川先生は、担任の小山先生の生活を「教材」にして、徹底的に盛り上げていく。 「小山先生、昨日、何時に寝ました? えっ、夕食の後、床でうたた寝したの?」 「朝ご飯は? パン1枚?」 「急いで食べませんでした?」 「小山先生はいつも給食、早食いだよー!」と男の子が叫んだ。 先生の悪い点をチェックするのは、ちょっぴりうれしそう。 「いいところも探してね」 子どもたち自身の昨日の生活もプリントに書き出させ、健康にいい点と悪い点を見つけさせる。 ◇ 給食をはさんで、授業は5時間目も続いた。 今度は、ウンチのぬいぐるみ「うんP君」を持って登壇。便秘なのに「平気」という小山先生に、うんP君が怒り出した。 「ボクノ タイセツサヲ ワカッテクレナイト コマルピー!!」 及川先生の裏声に大爆笑。子どもたちはうんP君にくぎ付けだ。 食べてからウンチが出るまでに16〜27時間かかる。ウンチは75%が水分で、食べもののカスや腸内細菌は25%しかない。赤や白、黒のウンチが出たら危険信号。くさいウンチは体調の悪い証拠。いいウンチは、最初は水に浮いてまもなく沈む――。 「ウンチは体調を伝えるお便りです」 いいウンチを出すために、どんな生活をすればいいのか。 「いつも朝ご飯食べてるとしたくなるよ」 「リラックスすると出やすい」 用意した「ウンチ教材」は30余。「くさいウンチの中にいる菌は?」「便秘解消のコツ」など、解説する絵や写真を、子どもの反応に合わせて出す。ウンチに興味を持ち、翌日、保健室にウンチの報告に来る子もいるという。 終業のチャイム後、本当に女の子が寄ってきてささやいた。 「家に帰ったら出そうな気がしてきたよ、先生」 花まる先生 バックナンバー
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