大きな身ぶりで笑いを誘いながら、楽しくクラシック音楽を聴かせる粟飯原先生=埼玉県川越市で、高山顕治撮影
「さあ、音楽をよく聴く勉強から始めよう」
粟飯原先生の合図で、音楽室のフロアに座っていた2年生が一斉に立ち上がった。スピーカーから流れる陽気なリズムに合わせ、「パン、パン、パンパンパン」と手をたたく。
音楽が盛り上がるのに合わせ、手をたたく音も大きくなる。流れるような旋律に変わると、指揮者になったつもりで両手を大きく左右に振った。太鼓の音が聴こえれば、太鼓を打つまねもする。
「音にしっかり合わせよう」。先生は手本を示しながら「指揮者みたいにかっこよく」「うまいねえ」と声をかける。堂々と指揮者を演じる子や真剣に耳を傾ける子。体全体で音楽を感じている。
「身体表現は音楽をよく聴くための手段。指揮することで曲の速さに気づいたり、楽器演奏のまねで音やリズムを確かめたりできるんです」
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歌や楽器演奏に比べ、鑑賞指導は敬遠されがち。でも先生は「演奏と鑑賞のバランスを大切にしたい」と語る。
歌の練習、鍵盤ハーモニカや木琴、タンバリンの演奏の後、いよいよ曲の鑑賞に入る。
「みんながさっき演奏した木琴の音がよーく目立つ音楽を聴きます。木琴の音が聴こえたなー、と思ったところで、右手を挙げてください」
タカタカタン、タカタカタン……。曲はサンサーンスの組曲「動物の謝肉祭」より「化石」。速いテンポで曲が始まると、弾むような木琴の音がすぐに出てきた。子どもたちは少し迷いながら、聴こえたら挙手、聴こえなくなったら下ろす、を繰り返した。
「むずかしーっ」
声が上がった。
先生は笑顔で「初めの部分はわかったね? よーく耳を澄ませて。さあ、もう1回」。
今度は先生も参加する。木琴の音に合わせて手を上げ下げ。飛び飛びに聴こえる部分は大忙しだ。約1分20秒の演奏の間、子どもたちの耳は音楽に集中している。
鑑賞なら楽器や歌が苦手な子も参加できる。先生は「木琴の音を聴き分けるなど、目的を持って聴けば鑑賞が楽しくなる」という。
曲に慣れたら、透明な木琴とばちがあるつもりで、打つまねをしながら聴く。聴こえる木琴の音に合わせ、強く連打したり、コンと優しくたたいたり。
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続いて、最初のフレーズをラララで歌ってみる。口ずさめるのはよく聴いていた証拠だ。
「次に聴くのは、さっきと同じ曲だけど木琴が難しくなるよ。これを透明な木琴で演奏できたらすごい。どこが違うかは聴いてのお楽しみ」
さて、鳴り始めた音楽は……
「速い!」
子どもたちが目を丸くした。CDの速さを変えたわけではない。別の演奏者のCDを先生が探してきたのだ。実は、速い方が一般的な演奏なのだ。
最後に「速い方」の曲で仮想演奏に挑戦。透明なばちを持つ、みんなの手が慌ただしく動いた。
「かんたーん」「全部できたー」。どの顔も満足げ。曲が終わってもミュージシャン気取りで「演奏」し続けた。