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自分の町を話そう 横浜市立山下みどり台小学校・山本朝彦さん

2008年2月18日

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写真子どもがインタビューしてきたビデオを真剣に見る山本先生=横浜市緑区で、安藤由華撮影

 授業の冒頭、男の子がみんなに尋ねた。

 「今日は横浜市が、住んでいる人々の願いをかなえようとしているかどうかという問題を話し合いたいと思います。いいですか?」

 6年「政治とくらし」の単元。

 子どもたちは3年生のころ、近くにある五つの高齢者の福祉施設と交流、昨年12月にも希望者がボランティア活動をしてきた。この体験を通じ行政の取り組みをどう思ったのか、それがテーマだ。

 「入所を待っている人が86人もいる施設があったね」

 先生が水を向けた。

 「施設に早く入りたいお年寄りがいるのに入れないんだから、横浜市はさらに努力すべきだと思います」と女の子が発言した。発言したら次の子を指名する。

 「ぼくは全員の願いをかなえるのは無理があると思う。入りたいというお年寄りの願いだけを実現しようとしたら、そこら中が老人ホームになっちゃう」

 リレーのように次々と出る意見を、先生は黒板に図で書き表していく。真ん中に「横浜市の取り組み」。その上に「努力している理由」、下には「努力が必要な理由」、左に「願い」を書く。意見には必ず子どもの名前を添える。

 「自分の意見がどこに位置しているか、視覚的に表すと子どもたちも頭が整理できますから」

    ◇

 山本先生は、教科を問わず「自分の考えを持つ」「人と自分の考えを関係づける」ことを重視した授業を続けている。

 1人の男の子がみんなに、広告の切り抜きを見せた。他の市がお年寄りのために走らせている小型バスの案内だ。

 「施設のことばかり出ているけど、違う形でもお年寄りの願いをかなえることはできる」

 別の男の子は、

 「横浜市が願いをかなえようとしているかどうかは、視点によって評価が変わると思う」と、福祉施設で働いている母親にインタビューしたビデオを取り出した。

 「職員の数が高齢者の立場で考えると少ない。体の大きな方をベッドから車いすに移す時などは大変で……」。福祉の現場の苦労を話す様子が映し出された。

 こうした「意見を裏付ける資料」は、子どもたちが自発的に集めてくる。全国の福祉施設の待機人数、福祉関係の予算額、憲法25条(生存権)の条文――。教室の壁は資料で埋め尽くされている。

    ◇

 「施設はお金があればいくつでも建てられるけど、人は意欲がないと働けない。市が努力しても働く人を集めるのは難しいのでは」

 視点の異なる意見が出た。

 別の女の子が引き継ぐ。

 「将来の夢って、保育園の先生とか身近なことしか考えない。子どものうちに福祉のことを学ぶ授業を増やして、福祉の意識を持つ人をもっと育てたらいいと思う」

 拍手が起こった。

 「意識って何?」。先生はあえて水を差す。子どもたちは、さっと辞書で言葉の意味を確認した。

 最後に先生は、この時間のそれぞれの結論を図に書かせた。

 「大人でも判断に迷う問題なので、結論づけはしません。ただ自分の考えや意識をきちんと持ってほしい。そこから先の判断は、将来に期待したい」

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