「1時間の中で1度は、みんなが自分の意見を言う機会を作りたい」という尾崎先生=新潟市中央区、菊池康全撮影
「特別な四角形と、特別ではない四角形。特別な方にはどんな秘密があるのでしょうか?」
尾崎先生は教卓に置いたお手製「?(はてな)ボックス」から厚紙の正方形(図の(1))を出した。5年1組のみんなが見つめる中、黒板に描いた「特別」の囲みの内にはった。
次は少々いびつな形((2))。これは囲みの外の特別じゃない方へ。
続いて長方形((3))を出す。
「特別だと思う人?」
大半の手が挙がった。長方形はなぜ、特別な四角形なんだろう?
*
「辺が曲がっていない」
「特別な方には直角がある」
子どもたちの発見を、先生は相づちを打ちながら聞いている。
「特別な方は、両方とも二つの辺が同じ長さなんじゃないの?」
男の子がそう発言すると拍手が起こった。正方形と長方形、向かい合う辺は、確かに同じ長さだ。
「面白いとこに目をつけたね」
みんなが考えた「特別な四角形の条件」は、斜めじゃない、直角がある、辺の長さが同じ……。
さて先生は、次の四角形((4))を取り出した。
すぐ別の男の子が声を上げる。
「これには直角がある。特別なんじゃない?」
ところが先生は「特別ではない」方に分類。あれれ、直角があるかどうかは関係ないの?
次は平行四辺形((5))。直角はないが「特別」の囲みの中へ。
「特別な方は、向かい合っている角が同じです」
また新たな発見が飛び出した。
なるほど、正方形も長方形も平行四辺形も、対角は同じだ。
そこで先生はもう一つの四角形を取り出す。台形((6))だ。向かい合う角は同じではない。
「これは特別の方に入ります」
「えーっ」「なんでーっ」
子どもたちからはブーイング。
それにしてもみんな、よく発言する。話を聞いてあげることが、次の発言を引き出す。それが先生の思いだ。
*
壁に突き当たったところで、隣の人との相談タイムに。教室内を回っていた先生に、窓際の男の子が声をかけた。話を聞いた先生は、ちょっとオーバーに驚いた。
「よく気づいたね。世界で1人だけかも知れない。説明して」
前に出た男の子は台形の底辺から上へ、垂直の線を2本ひいた。
「向かい合う上の辺と下の辺の間が、ずっと同じ長さです」
回り道したが、子どもたちがたどり着いた「特別」の法則だ。
みんなは配られたプリントの四角形を測って法則を確認した。
「こういう辺の関係には、特別な呼び方があるよ。『平行』です。ノートに赤で書いておいて」
みんなの声をたくさん拾いあげた1時間。「誤答でも、なぜそう思ったかをみんな一緒に考える。そうすれば子どもたち自身で修正できますよ」(柏木真)