「あれ? 傾いてる?」。一緒にロボットを作りながら積み木の高さをあわせる勝田先生=名古屋市、佐藤慈子撮影
「この形のお名前知ってる?」
勝田先生が四角い積み木を一つみせた。
「直方形!」
「おしい!」
「直方体!」
「ピンポン、ピンポン。じゃあ、今日、朝起きて何したか、この積み木でやってみて」
8人が小さな直方体の積み木を一つずつ持ち、表現を始める。
「歯磨き!」といって、積み木を歯ブラシに見立て、ゴシゴシガラガラ、ペー。「ランドセル!」と1人が積み木を出すと、ほかの子が「教科書!」といって、そこに入れるまねをする。「玄関のドア、ギー」「通学団、はい並んで」。全員の積み木が1列に。「1列なんだ」と先生。一瞬おいて、2列に変わる。
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「わくわく創造アトリエ」は、幼児・小学生の積み木を中心とした造形教室。NHKの教育番組でも知られる東北芸術工科大大学院の和久洋三客員教授が提唱し、北海道から九州まで14のアトリエがある。その一つが覚王山プレイルーム。生徒は140人。料理や音楽も取り入れている。この日は小学1年生から3年生が参加した。
「じゃあ、今度はこれを作ろう。ゲートオープン!」
段ボールの幕を開けると、積み木で作った「等身大ロボット」が現れた。2人一組で、同じようなロボットを作っていくという。
使う積み木は立方体、直方体、円柱、三角柱――。一辺4.5センチを基本に、4分の1、2分の1、2、3、4倍……、一定の割合で作られている。うまく積めば同じ高さや長さになるというわけだ。
「ここにすき間ができるなあー」と独り言をいい、困っている男の子。先生は、ニヤリとしながら「積み木の大きさをよくみて、やり直してみたら」。
「手が作れない」という子がいる。両手を横に広げ「これって作れる?」。両手を前に伸ばし「これはどう? 支えはできる?」。自分のTシャツをめくり「これ、おへそ。作った?」――。アドバイスしながら45分。4体の等身大ロボットが出来上がった。
「自分の考えを表現するため、数の法則をどう利用するか。自然に学べるのがこの積み木です」
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先生が、使い古しのビデオデッキを分解し始めた。
持ち帰り用のミニロボットを積み木で作ってボンドで固め、ビデオの部品で飾ったら、ペンキと絵の具で色づけしようというのだ。
普段は使わない部品。みんなの目が輝く。等身大ロボットとは違い、シンプルな形をすぐに組み立て、部品選びに夢中になる。
「積み木がバロック音楽だとすれば造形はジャズ。積み木と機械部品というミスマッチなものをどう組み合わせ、調和や新鮮さを出すか。深く遊んでいない子は、うまく表現できないんです」
ここでは6年生も学ぶ。色をごちゃまぜにする、顔だけ大きい、何でも対称、それぞれの課程を踏んで、創造性がふくらむ。
迎えにきたお母さんが、我が子の「作品」を見て言った。
「おっ、いいねえー」
褒める。何よりも子どもの創造力を引き立てる方法だと、先生は保護者にも伝えている。(宮坂麻子)