書く前に、子どもたちにどんどん意見を出してもらう=岐阜県瑞穂市、佐藤慈子撮影
授業は「頭の体操」で始まった。
「はい、新聞とは?」
小学4、5、6年の3人が、次々と答える。
「文字がいっぱいあるもの」
「父ちゃんが朝読むもの」
詰まったところで「新聞って、一体何するものなの?」。
「危険予知とかニュースとか……うわさじゃなくて世の中の本当のことを伝えるもの」と男の子。
「じゃあ、新聞に書いてあることって正確なんだ!」と先生。
「うーん……」
禅問答のような10分間。
「尋ねられると、ありきたりの言葉を即座に答え、それでいいと思う子が増えた気がします。自分の中で一度止め、自分の言葉を見つけることが大切なのに」
*
「ことばの泉作文教室」は、小2から中3まで40人ほどが学ぶ小さな作文教室だ。知能開発の有名スクールで作文を指導していた宇野先生が、「もっとじっくり教えたい」と開いた。物語、読解、論文や感想文も教える。
この日は「わらしべ長者」の分析だ。
「長者ってどういう意味?」
「金持ち」
「なんで金持ちに、『長』という字使うの?」
「オサだから」
「オサってどういう意味? 『短』とどう違う?」
題名から、ひもといていく。
「昔話が今に伝わったのは、人の姿そのものは変わらないからだよね。そこを考えて読むよ」
むかし、あるところにたいそう金持ちがありました。この家には息子が一人いましたが、それが、金を持ち出しては遊んでばかりで、すこしも働こうとはしませんでした――
「ここまでで、どう思った?」
「親が頼りがいがあったら、息子も頼りがいがあるはずなのにおかしい」
「絶対破産しないって思ってるからじゃない?」
「お金の感覚がマヒした」
家を追い出され、拾ったわらしべを蓮(はす)の葉に、蓮の葉をみそ、みそを名刀と交換し、最後は長者に名刀をあげて娘婿になり、働き者に戻った……というこの話(小澤俊夫再話「日本の昔話1」)。「交換」の繰り返しをどう読み解くかが、ポイントだ。一場面ずつ読み進め、議論を繰り返す。
*
「名刀って、売れば何百両にもなるかもしれんのに、なんであげちゃったんやろ?」
子どもの間で流行しているカード交換を例に挙げて考えさせる。自分に置き換えるのが基本だ。
「交換の場面で繰り返し出てくる言葉があるね」
「とぼとぼ!」
「蓮の葉もらっても、みそもらっても、名刀もらってもとぼとぼ歩いてたんだよね。じゃあ、嫁さんもらった後もとぼとぼなの?」
「嫁さんだけは違う。働き者になった」と3人。
「なぜだろう? そこを考えて感想文を書こう」と原稿用紙を配った。
鉛筆を手に悩む子。逆立ちをして考える子。先生はいう。
「きれいな文を書かなくていいんだよ。あなたたちの考えを書けばいい。なぜ、なぜ、なぜってね」(宮坂麻子)
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