プラネタリウムの投影機を説明する曽根先生=横浜市、堀英治撮影
5年生の「星座」の授業は、いつものように脱線の連続だった。
恒星と惑星、衛星の違いを尋ねた後、曽根先生は突然、「地球と月って、どっちが早くできたか知ってる?」と言い出した。
(1)地球の近くを通った星を引力で引き込んで、月ができた。
(2)星のもとがぶつかりあって、地球と月が同時にできた。
(3)小さな星がぶつかり、地球の一部がはじき飛んで月になった。
3択問題だ。
「答えは(3)。先生が中学の頃、月が地球と同じ成分でできているとわかり(3)が有力説になったんだ」
みんな興味津々で聞いている。
次は「地球と月の半径の比」から面積比、体積比を考えさせる。太陽の温度も尋ね、星の色で温度を見分ける方法を伝授した。
銀河系の星の数、肉眼で見える星の等級、七夕伝説の違い……、どんどん話が広がっていく。
*
啓進塾は、大手進学塾を辞めた講師を中心に86年、補習塾として始まった。先生はその塾長。最近は麻布、フェリス、栄光などの有名校に2けたの合格者を出す。入塾希望者が増え過ぎ、試験で絞り込まなければいけなくなった。
「光は1秒で地球を何周するか知っている人?」
教室の約70人のうち3分の1ほどが手を挙げた。
「7周半です」
「よく知っているね。学校で習った人?」
だれもいない。
「お父さんに習った人は?」
今度はほとんどが手を挙げた。
「教科書を隅から隅まで見れば教えることはたくさんあるのに学校では十分に教えない。うちでは、学ぶことが楽しいと思える人間を育てるため、教科書の内容を丁寧に教えています」
いよいよ星座の話になるかと思ったら……
「北極星って英語で何?」
「……」
「知らない? ポーラスター。ポールスターともいう」
「横浜は北緯何度?」
「35度!」
「じゃあ、横浜の北極星の高度は何度でしょう?」
「35度」と即座に声が上がった。
北極の真上に北極星がある。地軸と同じ位置にあるから動かないように見える。北極星からの光は、赤道に対して垂直に下りてくると考えると35度になる、というのが先生の結論だ。
「北極星の高度はその土地の緯度に等しい。覚えておこう」
続いて「これが解けたらどこでも受かる」と出した問題は――
「東の空に横に並んで出た○、△、□の三つの星が西に沈む時、どのような並びか描きなさい」
子どもたちは1人ずつ、星の並びを描いたノートを見せに行く。1回で正解は4人、2、3回目で正解8人。正解率は予想以上だ。
「横に並んで出た星は、縦に並んで沈むんだね。では、北東の空から横になって出たはくちょう座はどう沈む?」
ようやく星座の話が始まった。
*
授業後、みんなで別館のプラネタリウムへ移動した。先生が熱望してできた施設だ。授業で学んだ星の動きを実際に見て確認する。
「体験は、いつの時代にも欠かせない学びです」(宮坂麻子)
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