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横浜市立茅ケ崎小学校・小林宏幸さん

昔の暮らしは大変だ

2009年4月13日

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写真小林先生の社会科の授業=横浜市、安藤由華撮影

 授業開始のあいさつが終わるやいなや、小林先生が何も言っていないのに、3年3組のみんながいきなり手を挙げた。

 子どもたちの発言をつなげて授業の流れを作っていくのが、先生のモットー。それぞれの時間に勉強する内容は、子どもたち自身が提案する。

 指名された子が「昔の日課表を見て、大変だと思うことを発表します」と発言した。

 日課表の主は、地域で行事のお世話をしてくれているおじいさん(68)。学校周辺は今でこそ住宅街だが、60年前は田畑ばかりだった。おじいさんは小学生の時、どんな暮らしをしていたのだろう。

 昔の生活を振り返る社会科。前回の授業で、おじいさんが子どものころしていたワラ縛りの作業を体験。その大変さに驚いた。

 「毎日やったんだって!?」「どんな一日を過ごしていたんだろう?」という疑問から、当時の日課表を見てみることになった。

    *

 教室の前に、60年前の日課表がはってある。事前に先生が、おじいさんから聞き取りして作った。

 「意見ある人!」

 先生の声に、再び全員挙手。

 「朝テレビを見る時間もなく、仕事ばかりで大変」

 「僕は早く起きると眠くて2段ベッドから足を滑らせちゃう。おじいさんもそうなったと思う」

 ある子が「子どもが仕事をしている時、親たちは何していたんだろう」と疑問を出した。

 続いて、男の子が第2の疑問。

 「なぜ牛を飼ってるんだ?」

 一瞬沈黙し、みんなが挙手。

 「牛乳飲むためじゃない?」

 「そのままじゃ牛乳じゃない。飲めないよ」

 「スーパーとかなかったから牛の乳をそのまま飲んでたと思う。慣れてるから飲めたと思います」

 みんな、なんとなく納得。

 さらに、第3の疑問が出た。

 「登校より下校の時間の方が(45分も)長いよ。どうして?」

 「登校の時は速く歩いて、下校は疲れてゆっくり歩いたと思う」

 「足の速さの違いなら、1、2分しか変わらないはず」

 「安全なルートで登下校したんだと思う。朝の日当たりがいい道と夕方に明るい道が違ったんだ」

 与えられた資料や事実から、できるだけたくさんの疑問を引き出す。最終的には、おじいさんに直接会いに行って確かめるが、その前にあれこれ考えさせたいのだ。

 「遊びの時間がないよ」

 「戸を閉めるのに30分も。たくさん戸があったのかな」

 「縁側のぞうきんがけに、どうして30分もかかるんだろう」

 相次ぐ疑問に男の子が叫んだ。

 「よし、みんなで(同じ一日を)やってみようぜ。そうしたらわかるよ!」

 教室中ブーイング。

    *

 テレビの水戸黄門のような一話完結でなく、子どもを主人公にした連続ドラマのような授業が、先生の理想。

 最後に手を挙げた子がいう。

 「次の時間は、代表を決めて、疑問に思ったことを直接聞きに行けばいいと思います。それと、今日のまとめもします」

 先生顔負けの締めくくりに、笑いが起きた。

(宮坂麻子)

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