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欅文章スクール・木下睦雄さん

蟻が見た景色を描く

2010年8月9日

写真

 わたしは蟻(あり)

 からだは小さくても

 夢は大きい

 あのケヤキのてっぺんまでのぼりたい

 そして大きな世界を見つめたい

 

 5年生のクラス。木下先生は男の子が作った「蟻の想(おも)い」という詩を読んでから、「蟻の目に映る情景を絵に描こう」と言った。

 クラスの4人は「えーっ」。

 欅(けやき)文章スクールは、国語専門塾だ。先生は大手進学塾で教えていたが、オリジナルの教材とカリキュラムで教えたいと、23年前、東京・新宿に教室を開いた。小学3〜6年生と個人指導の中学生約20人が通う。

 週替わりの手作り教材は、漢字や熟語、読解・作文などを総合的に学べる。せりふのない漫画や文章のない絵本を見て物語を作らせるなど、絵と文章を結びつけて表現力を向上させる指導も特徴だ。

    ◇

 この日はまず導入として、蟻とは逆に、「鳥の視点」で情景を見ることに。ケヤキ、滑り台、遊具の回転塔が描かれた公園のイラストを見ながら、空から見下ろした情景を描き、文章にまとめた。

 「何を基準にして位置を説明するかを考えることがコツです」

 子どもたちは「下に木があります。木の右斜め前に回転塔、右斜め後ろに滑り台があります」などと、木を中心にして説明した。

 次に、「蟻の視点」。

 「詩は独特の視点で書かれた作品が多い。視点を変えた絵を描くことで、作者の視点を考えさせたい」。それも先生のねらいだ。

 子どもたちがイメージしやすいように、男の子の詩をもとに描いたイラストを、白板に掲示した。ケヤキの大木の根元にタンポポが咲き、蟻がそれを見上げている。青空には雲が浮かぶ。

 「蟻の上には、まず何が見える?」と先生。子どもたちは思案顔だ。天井を見上げながら想像していた子に、「いいねぇ。蟻になった気分で描けばいいですよ」。

 地面に咲くタンポポは、上から見おろすことがほとんど。

 「花の裏って、どうだっけ?」 「見上げると青空がどーんと下まで広がるね」。みんなは想像を膨らませ、色鉛筆を走らせた。

 「下から順に何がある?」。先生はそうたずね、「地面→蟻→タンポポの花→ケヤキの枝と葉っぱ→青空と雲」と、位置関係を白板に整理した。順序よく説明することも学んでほしいからだ。

 地面を描いていた子に、「蟻の視点は上に向いているから地面は見えないのでは?」。みんなは裏側から見えるタンポポのがくを描いたり、ケヤキの大木を描く時には、幹の根元は太く先は細くと遠近感を出したりしつつ、見上げた視点を工夫した。

    ◇

 最後は、蟻の視点で見た情景を文章に。「例えの表現が使えるといいね」と助言を受け、男の子が発表した。「蟻が見上げると、太陽のようなタンポポと、山のように大きな木がありました。木の上には、海のような青い空と羊のような白い雲がありました」

 先生は「近いところから上にあるものへと、順序よく説明できたね」とほめ、「視点を変えると、見え方が変わるんだね」。(山根由起子)

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