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「宇宙の学校」講師・遠藤康弘さん

「好き」を引き出す

2010年8月16日

写真3、2、1、発射! ロケットには、宇宙に連れていきたいものを描いた=北海道網走市、吉本美奈子撮影

 北海道網走市の「宇宙の学校」。授業は、帰還した宇宙探査機「はやぶさ」の話で始まった。

 「知ってる?」「知ってる!」

 カプセルや帰還の写真が、スクリーンに映し出されると、低学年17組の親子がくぎ付けになる。

 同校は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙教育センター長だった的川泰宣会長(68)が設立したNPO法人「子ども・宇宙・未来の会(通称KU―MA〈くーま〉)」と同センターが協力し、昨年から全国展開を始めた講座だ。

 教育委員会や学校、市民団体など「宇宙の学校を開きたい」と要望のあるところに講師を派遣。工作や実験を交えた「スクーリング」を年数回開くと同時に、独自の家庭学習教材を手渡し、次回のスクーリングで結果発表する。対象は幼児と小学生の親子。北海道から沖縄まで23カ所で開校、全国に宇宙教育の輪を広げる狙いだ。

    ◇

 「14年間にわたるはやぶさのプロジェクトを成し遂げた人々に共通することは何だったと思う?」と的川会長。「???」

 答えは「好きだから苦しいことに耐えられる。好きだから独創と工夫が生まれる。好きだから感動と共感を呼び起こす……」。

 講師の遠藤先生はいう。

 「幼いうちだからこそ、子どもの『好き』を引き出せる。その力を一番持っているのは家庭です。だから、ここではお父さんお母さんとともに学んでもらうんです」

 遠藤先生は、東京都国分寺市の公立小学校の教師だ。「宇宙の学校」の教材開発から携わり、休日にスクーリングの講師をする。

 傘を入れるポリ袋(厚さ0.06ミリ、150センチ×12センチ)を出した。空気を入れて、口を閉じ、ロケットのように飛ばしてみる。

 「あー、戻ってきちゃった。どうして?」「風が当たるから」

 「では、前と後ろのどっちがたくさん風が当たる?」「前!」

 「よし、前にビニールテープを巻いて重りにしてみよう」

 テープを巻くと、戻らなくなった。だが、傾く。

 「本物のロケットって、何かついてない?」「羽根」

 「では、尾翼をつけてみよう」

 後ろに4枚の厚紙をつけると、なんと4メートル近くすうっと飛んだ。

 重力は、傘袋のあらゆる部分に働いていて、その中心が「重心」。傘袋は、横から力を受けると重心を中心に回転してしまう。空気の流れによる力も受け、その中心が「空力中心」。重心と空力中心の位置が、飛行には大きく影響する。テープや羽根によって、その位置を変えたのだ。「宇宙好きでない子ほど、宇宙の楽しさに触れさせ、すそ野を広げたい」

    ◇

 続いて、熱気球作り。70リットルのポリ袋(厚さ0.015ミリ、80センチ×65センチ)4枚をテープでつなげ、大きな1枚の袋にする。画用紙を幅15センチ程度の筒状にはり、その口からガスバーナーで温かい空気を入れると、10メートル近く上がった。

 「どうしよう、下りてこない」と不思議顔の子どもたち。だが、3分ほどで下りてきた。

 「空気は温まると軽くなって上昇し、温度が下がれば下りてくる。その原理で初めて熱気球を作ったのは、フランスの紙屋の兄弟です。飛ぶというのは、みんなの夢なんですよ」(宮坂麻子)

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