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群馬県立自然史博物館・木村敏之さん

野ネズミの生態学ぶ

2010年8月30日

写真木村先生がネズミを見せると、「かわいい」=群馬県富岡市、門間新弥撮影

 ピンクの丸い耳と鼻先、背中には茶色い毛。ワナにかかった生きたネズミを、学芸員の木村先生が見せる。「ハムスターみたい」「ヒゲが長い」「鼻がピクピクしている」。群馬県立自然史博物館主催の「子どもミュージアムスクール」に参加した子どもたちは、興味深げに目を凝らした。

 前日、みんなは博物館近くの小山に行って、草むらや木の根元など115カ所にアルミ箱のワナを仕掛け、箱の中や扉付近に餌のオートミールをまいていた。この日はワナを回収し、3カ所でネズミがかかっているのを発見。その地点を地図に書き込んだ。

 「住宅地にいるドブネズミやハツカネズミと比べてごらん。野山にいるこのネズミは、毛が赤っぽいね」。先生は家ネズミとの違いに注目させた。「あまり臭くないね」と言う子に「ハツカネズミは腎臓が発達して濃いおしっこが出るのでにおうが、この種類のネズミはそれほどでもないんだよ」。

    ◇

 スクールは小中学生が対象で、学芸員を講師に、テーマごとに通年で調査活動をしている。ネズミコースは年10回ほど活動し、今年度は6人が参加。ネズミの生息分布や行動範囲を調べ、来年3月に発表会をする予定だ。

 木村先生の専門はクジラの研究だが、博物館では哺乳(ほにゅう)類や魚類を担当。群馬県西部でネズミによる農作物被害が多く見られたため、2007年度には、同コースの活動の一環として、県や自治体と共同でネズミの生息調査をした。

 さて、博物館に戻った子どもたち。測定工具でネズミの体の各部分を測り、体重や性別を調べて記録した。データは、ネズミの種類を見分けるのに役立つのだ。

 先生は、捕獲したネズミが、野山に生息するアカネズミかヒメネズミと予想し、2種類のネズミのしっぽと後ろ脚の長さの分布表を見せた。アカネズミのしっぽは100〜120ミリ、後ろ脚は23〜25ミリの範囲に多く分布する。ヒメネズミは、いずれも短い。

 みんなは実測データをもとにアカネズミと判断。この後、ネズミを元の捕獲した場所に放した。

    ◇

 続いて取り組んだのは解剖だ。

 ゴム手袋をはめ、博物館で冷凍保存していたネズミの皮をはがして、剥製(はくせい)標本を作った。

 「標本は博物館で研究に役立てられます。面白半分で扱わないように」と先生。手本に1匹をハサミで解剖しながら、「ジャンプするから、後ろ脚の筋肉が発達しているんだよ」「あごの周りの筋肉も発達しているよ」と示した。

 長い歯を指さし、「ネズミは齧歯(げっし)類です。前歯はノミみたいに鋭く、一生伸び続ける。歯の前面はエナメル質、裏側は象牙質。上下の歯をかみ合わせると軟らかい象牙質が先に摩耗し、硬いエナメル質が残る。だから、常にとがった前歯でかじれるのです」。

 「うへぇー」と目を背けていた子たちも、次第に関心を持ち、解剖図で臓器の位置を確かめながら解剖をした。「しっぽには骨があるんだ」「皮の下のこれ、皮下脂肪かな」……と次々に発見も。

 最後に先生は「人の腕やあごの骨、骨格の仕組みについて、図鑑などで調べ、ネズミと比べよう」と課題を出した。次回は、ネズミの骨格標本づくりに挑戦する。(山根由起子)

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