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小田原市立大窪小学校・二宮龍也さん

ラブレターで文章磨く

2010年11月8日

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写真:「あと3分!」という声に、紙を取りに前に出る子もかけ足に……=神奈川県小田原市、高波淳撮影拡大「あと3分!」という声に、紙を取りに前に出る子もかけ足に……=神奈川県小田原市、高波淳撮影

 4年2組の27人はいま、「ラブレター」に夢中だ。

 大好きな人に、大好きな思いを伝えたい。誰に、どんな思いを伝えるかはもう決めた。時候のあいさつや結びの言葉など、丁寧な手紙には形式があることも知った。あとは、問題の文章――。

 「今日は、ラブレターに描く場面を、紙に書いてもらいます」

 二宮先生が、いつもの静かな優しい声で説明を始める。

 「教科書の『白いぼうし』の最初の場面を覚えていますか」

 「紳士がタクシーに乗ってきた場面です」と女の子。

 「帽子が落ちていた場面もありましたね。では、お母さんにラブレターを書くならどんな場面が浮かびますか」「朝ご飯を作ってくれている場面もありますね」「隣同士、どんな場面があるか3分ずつ話し合ってみましょう」

 先生の授業は、全員が理解できるよう、とても丁寧に進む。

 「ここは公立ですし、書く授業で一番難しいのは、書けない子にどう書かせるか、ですから」

    ◇

 場面というものを十分認識させた後、「これからは自分の時間。友だちを頼りにしてはいけません」とちょっと厳しく言った。

 手紙は、あくまで自分で書くもの。一枚の紙に、浮かぶ場面を一つ書き、枚数をどんどん増やす。

 勉強を教えてくれた場面、看病してくれた場面、私を産んでくれた場面……。一枚書けたら、教室の前まで、次の紙を取りに行く。先生の机に用意した200枚の山は、あっという間に低くなり、さらに200枚が追加された。

 「10枚が目標ですよ。考えすぎたらいけません。頭を空っぽにして、浮かぶ場面をどんどん書く」と先生。「こんな場面は?」「こんなふうに書いた子がいます」などと自ら発言することはない。ただ、うなずいて回るだけだ。

 「授業は子どものもの。教師が教えたがりになってはいけない。競うように紙を取りにいくだけで十分プレッシャーになる。あとは、よしよしと、書く自信をつけてやるだけでいい」

 全員が見事目標の10枚を達成!

 ところが、先生がぽつりと言った。「でも、これらの場面を全部詳しく書いたら、原稿用紙何十枚にもなってしまいますね」。なんと今度は、全体を見直し、使わない場面の紙を戻すよう指示。

 「えーもったいない」と、子どもたちは文句をいいつつ、渋々、紙を戻しにいく。

 次は、残った紙に順番づけ。

 「ここはさっきと違って、よーく考えるところです。好きという思いが伝わればいい。もうここからラブレターを書いているんですからね」と、先生はニヤリ。

 文の構成を、紙でさせるのだ。

    ◇

 順番をつけたところで、最初に書いた場面の紙に、さらに具体的に、その場面で描く内容をいくつかメモするよう指示した。

 「10枚手元にある人は、10枚全部メモを作ってくださいね」

 「ええーっ」「はあ……」

 ため息とともに、1人、2人と紙を戻しに前に出てきた。

 「えっ? どうしたんですか? いらないんですか?」

 先生は笑いながら言った。「書くためには、選ぶことも大事、選べることも大事」(宮坂麻子)

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