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群馬・玉村町立南小学校・長谷部桂一さん

投書を題材「自分なら」

2010年11月29日

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写真:全員が教室の真ん中を見て立ち、意見を言う=群馬県玉村町、伊藤進之介撮影拡大全員が教室の真ん中を見て立ち、意見を言う=群馬県玉村町、伊藤進之介撮影

 「ここはどこでしょう」

 スクリーンに鎌倉駅の入り口の写真が映し出された。

 「温泉」「学校」……「駅」。

 「正解! どこの駅でしょう。ヒント。ちょうど1年後、みんなはこの駅を利用します」

 5年3組のみんなは、来秋、修学旅行で鎌倉へ行く。

 「この電車は知ってますか?」

 映し出されたのは「江ノ電」。

 南小学校の近くには駅がなく、普段、電車を使う子はほとんどいない。長谷部先生は、電車のマナーについて道徳の授業を始めた。

 「席を取るために走る。これは、許せますか?」

 全員「許せない」。「なぜ?」

 子どもたち全員が、教室の中央を向いて立ち、次々意見を言い始めた。「ぶつかったらけがをするから」「前の人が並んでいるのにひきょう」……。同じ意見が出たら着席する約束だ。この方法だと、みんなの意見が見える。

 「席を取るために順番を抜かすのはどう? 席を取るためにバッグを投げるのは?」「非常識過ぎる!」と笑いが起きた。

    ◇

 スクリーンには次に、エッセーが映し出された。

 夕方の地下鉄のホーム。長い列の5番目に、腰の曲がった80歳近い女性が大きな荷物を下げて並んでいた。電車が入ってくると、その後ろに並んでいた少女が、いきなりお年寄りを押しのけ、一つだけ空いていた席にバッグを投げて座った――という内容だ。

 先生は「少女の行動をどう思いますか。紙に書いてください」。

 3分後。「許せない」「けがをさせる」と批判が相次いだ。

 だがエッセーには続きがある。

 後からその少女の友だちが乗ってきて、お年寄りに「席ありますから」といい、最初の少女が取った席に案内した、というのだ。

 「お年寄りの席を確保するために、少女たちは協力したんですね。これならどう思いますか」

 ここで意見が分かれた。「お年寄りのためならいい」という賛成派、「でも、前にいた人たちに失礼」という反対派もいる。

 「もっとやり方がある」といった子の声を先生は聞き逃さなかった。「ほかのやり方?」

 次々、手が挙がった。「若い人に代わってあげてという」「優先席に案内する」「一番前に並んでいる人にお願いする」「荷物を持ってあげる」……。先生は「どれなら自分でも恥ずかしがらずにできそうか書いてみて」と促した。

 長谷部先生が目指しているのは、「マナーを守る子」ではなく「いざという時に、ベストな行動を選択できる実践力のある子」。

 教室の壁には、子どもの名前の下に、その子が他人のためにした行動のメモがはられている。題して「世のため、人のため運動」。

    ◇

 今度は、スクリーンに新聞の投書欄の記事が映った。

 混雑する電車で老人に席を譲った初老の女性。その女性に青年が席を譲り、その青年のリュックを、初老の女性の隣に座る人が持ってあげたという、「電車内の親切の連鎖」が書かれている。

 「悪いことばかりじゃなくて、こういうすばらしい出来事もニュースです。世の中に優しさや思いやりが広がる投書をみんなもしてみてください」(宮坂麻子)

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