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宮城・東松島市赤井南小学校 斎藤信吾さん

「わからない」を共有

2011年7月26日

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写真:熱っぽく授業を進める斎藤先生=宮城県東松島市、諫山卓弥撮影拡大熱っぽく授業を進める斎藤先生=宮城県東松島市、諫山卓弥撮影

 斎藤先生は、黒板に「角」と大きく書いた。

 「なんて読む?」「カク」

 「この字からどんな言葉が浮かびますか」

 「三角形」「四角形」「二等辺三角形」……。

 先生は、みんなが口にした形の画用紙を黒板に張った。それぞれの形を確認した後、直角三角形を手にとり「角(かく)ってどこ?」。

 一瞬の無言の後、挙手した子が前に出て、頂点に色のチョークで点を書いた。次の子は頂点から出る二辺に色を塗り、その次の子は三つの角の内側を色で塗った。

 「どれ?」。みんな内側の色に挙手。そう、正解。1点から出る2本の線の、「開き具合」が角なのだ。

 突然、先生は画用紙の三角形をビリビリ破いた。

 「あー!」

 驚きの声が響く。三つの角を並べてどれが一番大きいかを考えた。この日の目標は、角の概念を学ぶことだ。

    ◇

 クラスの25人のうち、23人が避難所や親類宅に身を寄せていた。隣の学区の海側は、ほとんど家がない。石巻市から2人も転入してきた。

 「最初は授業でもうんと気をつかいました。怒らないように、元気づけるように。でもいつまでそれそれすればいいんだかなあと思い始めて」

 「それそれする」は、甘やかしおだてる意味の方言だ。

 いまは震災で遅れた学習を取り戻し、しっかり学力をつけることに専念している。

 続いて先生が出したのは、色違いの二つの円。半径に切り込みが入っていて、差し込んで回転させると時計のように色の違う部分が増減する。

 先生は、投影機の上に乗せて回転してみせた。「デンデンデンデン……」。子どもたちが曲をつけて歌う。

 みんなも同じものを作ってきていた。それぞれ回転させてたっぷり遊んだ後、先生が問題を出した。「この六つのうち、緑色の角はどれが一番大きいでしょう」

 黒板に張った六つの円はどれも同じ大きさだが、緑色の色違いの部分があり、180度、90度、30度と中心角が違う。みんなは180度が一番大きいと答えた。大正解!

 今度は大、中、小と大きさの違う三つの円を出した。ただし、色違いの部分の中心角はすべて90度だ。

 「どの角が一番大きい?」

 正解は「どれも同じ」。だが、大きな円の角が一番大きいと考えた子が数人いた。

 「わかんない」

 「よし、みんなで理由を説明しあおう」

 わからないことをわからないとちゅうちょなく言える学級がいいと、先生は思う。ひとりの「わからない」を共有しあいたい。

    ◇

 6月初めに、東北地方の算数の先生たちを集めて授業研究会を開いた。「こんな時なのに」という声もあったが、東京から招いた先生が「1人でも2人でもいいからやりましょうよ」と言ってくれた。石巻市や仙台市、岩手県や山形県からも先生が集まった。

 教師同士、励まし合って出た結論は一つ。「いい授業をしよう」だ。(宮坂麻子)

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