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石川・真脇遺跡縄文館館長 高田秀樹さん

野焼き・薪作り、昔を実感

2011年8月9日

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写真:声をかけながら、火玉を作る子どもたちを見守る高田さん(中央)=石川県能登町、伊藤圭撮影拡大声をかけながら、火玉を作る子どもたちを見守る高田さん(中央)=石川県能登町、伊藤圭撮影

 能登半島の真脇(まわき)遺跡(石川県能登町)は、縄文時代の大集落と大量のイルカの骨が出土した国指定史跡だ。

 出土品展示の「縄文館」や宿泊施設、天然温泉も併設する遺跡公園で、10年以上前から子どもたちに様々な「縄文体験」をさせているのが高田さん。1982年の最初の発掘調査からかかわり、いまは館長を務めている。

 高田さんの授業を受けに、同町立鵜川小学校の6年生約20人がやってきた。

 公園の広場ではすでに小さな炎が燃えている。子どもたちが作った縄文土器を「野焼き」しようというのだ。 子どもたちを火の周りに集めると、高田さんが言った。 「土器をすぐに火に入れていいと思いますか」

 土器は急に熱すると割れてしまう。まず昼ごろまで火の周りに並べ、少しずつ火に近い位置へずらす。半日すぎたら弱火の中へ。徐々に火を強め最後に約800度まで上げて焼きしめる。1日作業だ。

    ◇

 最初に高田さんが子どもたちと始めたのは、薪作り。あらかじめ、雑木を林から切り出してきていた。

 「この木の種類がわかるかな」「松!」「松ぼっくりがついとる」

 「では、これは?」「栗!」「よー知っとるね」

 木の種類を伝えることで、切る時に感じる硬さ、燃え方も知ってもらいたいのだ。

 のこぎりとなたを渡した。真脇遺跡には、年間約2500人の子どもが体験に訪れるが、自然の木をのこぎりやなたで切った経験のある子は少ない。どっちの足で、どっちを踏んで切るのか。どのくらいの大きさの薪がいいのか。それも試行錯誤させる。

 「自分で火に入れていいの?」「やったー」。薪を火にくべるだけで、大はしゃぎ。

 次は「火おこし」。高田さん自作の木製火おこし機で、板と木を摩擦させ、火種となる「火玉」を作る。

 説明を受けたものの、なかなか思うようにいかない子どもたち。ほのかに煙がのぼり黒い粉が出てくるが、火玉にならないのだ。

 「なんでー?」「あーあー、そこで続けないと」

 あちこちから声が飛ぶ。

 「今日は、火玉はできてもたぶん火はつかないよ」と高田さん。朝まで雨が降っていて、空気がしめっていた。

 「縄文時代には、火を起こすのも苦労した。火がとても大切で神聖な物だったということをわかってほしい

 モットーは「実験しながら縄文時代を味わうこと」。遺跡の中に復元した立柱を建てたり、石斧(せきふ)を作って木を伐採したり。今年は深さ約1メートルの貯蔵穴を掘り、ドングリや栗の実を入れ、変化をみている。将来は、遺跡の上にみんなで、縄文の家を復元したいと考えている。

    ◇

 火おこしを始めて1時間。「赤なっとるー」と叫び声が上がった。火玉を、麻糸と新聞紙の入った皿に移し、優しく吹く。「その調子。そっとそっと」「やったあー」。なんと、炎があがった。

 「縄文人の奇跡やな」

 (宮坂麻子)

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