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花まる先生

和歌山・紀美野町立毛原小学校 浦貴子さん(55歳)

自ら学ぼう、複式の子

写真:浦先生が後ろの黒板で5年生を教える間に、前の6年生は自分たちで学習を進める=和歌山県紀美野町、伊藤菜々子撮影拡大浦先生が後ろの黒板で5年生を教える間に、前の6年生は自分たちで学習を進める=和歌山県紀美野町、伊藤菜々子撮影

 高野山のふもとにある小さな小学校。移住を積極的に受け入れ、全校18人のうち3分の2はIターンで全国から引っ越して来た子たちだ。

 教頭の浦先生は、複数の学年の授業を同時におこなう複式授業の達人。長年の経験を生かして今も教壇に立つ。この日は5年生2人、6年生5人の高学年クラスの国語だ。

 「はい、10分間のフリートークからしましょう」

 司会の6年生が前に出た。「今日は、きょうだいがいた方がいいか、一人っ子がいいかを考えたいと思います」。次々と手が挙がった。

 「弟がさわいで勉強に集中できないので一人っ子の方がいいと思います」「留守番する時に1人だとさびしいから兄弟がいた方がいい」

 「弟がいたらどんな話をしたいですか」と司会が質問。書記役は、黒板に意見をまとめながら、自らも発言する。

 ピピピピッ。タイマーの音で終了。先生は見守っていただけだ。「違う学年を同時に教え、時間をむだにしないためには、子ども自身で学べる手法を教えていかなければならない。それがすばらしい力になるんです」

    ◇

 5年生は「見立てる」、6年生は「感情」という説明文の読解を始めた。「今日はどちらも要旨をまとめてもらいます」と先生。45分間の学習の流れを書いたボードを、6年生は前の黒板、5年生は後ろの黒板にはった。

 「5年生は本読みから」。2人が交互に音読し始めた。その間に先生は、6年生の黒板に四つの顔の絵をはった。笑顔、喜びの顔、泣き顔、困った顔。「4枚を二つのグループに分けるとどうなりますか?」。男の子が前に出て2枚ずつに分けた。「悲しい感じとうれしい感じで、こうなると思います」

 先生は笑顔の下に「不安、後悔、悲しみ」、泣き顔の下に「安心、希望、喜び」と書いたカードをはった。すかさず「えっ、違う」と間違いを指摘する声があがった。「では、どっちが大切と思うか話し合ってください」

 「後悔の方が大切だと思う。後悔すれば二度と失敗しないから」「希望の方だと思います。希望があれば前向きに生きていける」「4年生の劇発表の時、不安だったんだけど、それを乗り越えたら成功したので、やっぱり不安は大切だと思います」

 この間、5年生は最初と最後の段落に共通した言葉を見つけ、黒板の全文コピーに付箋(ふせん)をつけていた。要旨をまとめる時のヒントにする。先生が「○○さんはなんて言ったんだっけ」と尋ねると、みんな黒板を見た。意見と名前を自分たちで黒板に記し、見えやすくしているのだ。先生が聞いていなかった時も、分かるようになっている。

 6年生は、「不安」と「喜び」のどちらが大切と筆者が主張しているかを考え、いよいよ要旨をまとめ始めた。まさに同時進行だ。

    ◇

 浦先生は言う。「どの子も活躍し、違う意見を持って、学ぶことが自信につながる。複式の子の輝きを見てほしいですね」(宮坂麻子)

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