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作家・川上未映子のおかあちゃん 利江さん:2 怖い話で想像力が育ったんかなぁ

2008年4月15日

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 未映子(31)は、幼いころから哲学的な少女だった。

 2、3歳のころ。家族で海に行った時の姿を、利江(54)は忘れられない。

 姉も弟も海に飛び込んではしゃいでいるのに未映子だけは水に入らず、砂浜にじっと座って砂に絵を描いていた。絵を描きたいというより、描いた絵が波で消されるのを不思議がっているようだった。描いては消え、また描く。小1時間、同じことを繰り返していた。

 「止めませんでしたけど、変わってる子やなあと思いました」

 祖母と動物園に行った時は、帰宅しても水筒のお茶を絶対に捨てようとしない。「お茶を捨てると思い出もなくなる」と主張した。

 祖父が亡くなった時は「死ぬのがわかってるのに、何で生まれてきたん?」と尋ね、利江を困らせた。

 「理屈っぽい」と言われる未映子を、利江は決して否定しなかった。

 「子どもはありのままに育てるのが一番やから」

     *

 小学校に入ると、未映子はあさりちゃんやドラえもんなどの漫画にはまった。

 読むだけではない。チラシを漫画本の大きさに切って、裏に1巻分全ページの漫画をまる写しする。ドラえもんの写しを、作者の藤子不二雄さんに送って、下敷きと手紙をもらったこともある。

 3、4年生になると、自分で漫画を描いて、吹き出しを入れて、どんどん話を作っていく。

 「将来は漫画家になるんかなーって思てました」

 国語の教科書が大好きで、何度も読んだり写したりしていた。

 利江は、姉と弟にはいつもおもちゃをプレゼントしたが、未映子だけは漫画本にした。暇を見つけては、お姫様などの絵を一緒に描き、話も作った。

     *

 なかでも得意だったのは「怖い話」。

 「ある家に一つドアがあってなあー、それをギーっと開くと……、イチゴの顔をした人間が……」

 効果音も入れたその話しぶりには、いまも子どもたちが絶叫する。

 「私の怖い話で、未映子の想像力も育ったんかなあ?」(敬称略・宮坂麻子)

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