プロゴルファーになっていない桃子(22)を想像するのは難しいが、ファッションデザイナーになっていたかも知れない。それは、功一(52)の夢だった。
アパレルショップを経営する功一が目を見張るのは、突拍子もないアイテムを「合体」させるセンス。大きな花のアクセサリーをパンツに。フォーマルドレスにスカーフを。タブーとされる「黄色と黒」「紺色と金」も簡単にマッチさせる。
「いいなと思って、他人がまねしても様(さま)にならない。まさに桃子独特、です」
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「突拍子のない物」を組み合わせ、新しいファッションを生み出す感覚は、桃子の22年の人生にも通じる。
サッカーに夢中だった小学3年のころ、友だちがゴルフを始めたのを見て、自分も「プロゴルファー宣言」。20倍近い競争率をくぐって小学4年で坂田信弘プロ主宰のゴルフ塾入塾。高校3年で親元を離れ江連(えづれ)忠スクール入校。19歳でプロテスト合格。21歳で賞金女王。日本で賞金を稼ぐかと思えば、いきなり米国へ。
そんな行動の底にあるのは「桃子の人生は、桃子のもの」という教育方針だろう。功一は最初の坂田塾入門だけは「ちゃらちゃらした遊び心だ」と反対したものの、「合格」を突きつけられると、あとはなんでも「OKおやじ」となった。
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米国に、こんな言葉がある。
「Nobody can take advantage of you unless you let them」。あなたがそうさせない限り、だれもあなたの人生に踏み込めない――とでも訳せるだろうか。言い換えれば、「私」を主語に人生を考えることである。「パットが入らない」→「私はパットが下手だ」。「好きな仕事が見つからない」→「私は好きな仕事が見つけられない」
「人生、自分が主人公にならないと楽しくない」。長女亜沙美(27)、長男悌史郎(20)、そして功一の「物語」が交錯し、励まし合い、競い合う。
「大事なのは、みんなの物語が自分を主人公にしていること。勝負はこれから」
桃子は15日、米国ツアーから一時帰国して臨んだ「サントリーレディス」で優勝。今季初勝利、通算6勝目をあげた。
いまはちょっと、「桃子物語」がリードである。(敬称略・石川雅彦)
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