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棋士・羽生善治のお母さん ハツさん:2 高校入学、勧めたことを後悔

2008年8月12日

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 もう一度、ハツ(75)が善治(37)を育て直すとしたら……。

 「高校にはやらないでしょうね。私らが行けといったから、あの子は、高校に入学することにしたんです」

 中学3年でプロになった善治は、卒業と同時に都立富士森高校に入学した。将棋界にはむかしから「学歴無用論」があったが、家族らの「せめて高校ぐらい」という意見に従った結果だった。

   *

 高校生とプロ棋士生活の両立は困難を極めた。勝てば勝つほど対局が増え、学校に行けなくなる。善治にとっては理不尽なことだったろう。

 たとえば、大阪で対局があった翌朝、善治は授業のため新幹線の始発で東京に戻ってくる。ハツはJR西八王子駅のホームで待っている。善治は出張用のかばんをハツに預け、代わりに学生かばんを受け取って、そのまま学校に向かう。

 「冬なんて、ホームで触れる善治の手が冷たいんです。さぞかし、あの人もつらかったことでしょう」

 そして、高校3年の3月、善治は「留年の危機」に追い込まれた。

 一般教科の試験は持ち前の暗記力と集中力で乗り切っていたが、出席日数はいかんともしがたい。その後、善治は都立上野高校の通信制に転入し、なんとか無事に卒業することになる。

 ハツは振り返る。

 「善治には、好きなことを好きなだけやらしてあげるべきだったかもしれません。本人はずっと早い段階から、将棋一本、と決めていたわけですから」

 夫・政治(74)が、ハツの横から口をはさんだ。

 「でも、私は善治が心底うらやましかったですよ。あれほど好きなことに、小学生の段階で巡り合えたのですから。大人になっても、好きなことが見つけられない人間も多いんですから」

   *

 自分の「好き」にこだわる子どもと、息子の「好き」を最優先にしなかったことを悔やむ親。

 そこで、こんな質問をしてみた。

 「いままで、人生に迷い、両親になにか相談したことはないのでしょうか」

 政治とハツが顔を見合わせた。(敬称略・石川雅彦)

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